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Colors of christmas 土方

待ちに待った、クリスマス。




底冷えの街に、輝くイルミネーションが暖かな灯りを燈す。

それぞれがそれぞれの大切な人と、その時を過ごしている。




手を繋いでるカップル。

ケーキやチキンを持った家族。

サンタの帽子を被って笑いあってる友達同士。




そんな多くの人々が必ず足を止めるのが、このクリスマスツリーだ。




昔から語り継がれる、願いのクリスマスツリー。

大切な人と願い事をすることでその輝きを一層増すという伝説があるこのツリーは、昔からたくさんの人々を魅了してきた。




ほらここにも、また願い事を掛けようとしている人が…………











肩を激しく上下させ、遠くから愛おしい人が走ってこちらにやって来た。




約束の時間は、19時。

だけど今は、21時を回ったところだった。




「悪かった、その……仕事が。」




「いいの、お疲れ様でした。それよりもう大丈夫なの?」




「手前の女を寒空の下2時間も放ったらかして、大丈夫なわけねぇだろ。」




その声色は、まるで自分を責めるようだった。

仕事一筋の歳三くんに待たされるなんて、日常茶飯事だ。

待たされるというよりは、むしろ私も積極的に待っているのだけど。




「年末だもんねー、仕事残して年越ししたくないでしょ?」




結局そんなところに惚れた、私の負けだ。

うじうじ言わない、とことん付き合ってやることにした。




「ああ…また厄介なことが増えちまってよ。」




いくら仕事の鬼だからといって、その仕事内容がブラックなわけではない。




きっと半分くらいの原因は、彼自身にある。




歳三くんはすごく優しいから、まるでその人から横取りしていくかのように、自分の負担を多くする。

歳三くんの双肩にかかるものは、日に日に大きくなっていくけど、何一つ弱音を吐かない。




すごく立派な人、だけど。

逆に側で見てると、すごく心配。




「いいんだ、ちょっとでも歳三くんとクリスマスできれば。」




仮にそれが、ツリーだけでも。




「……お前に嫌われないように、願っておくかな。」




「あはは、それは無駄なお願いだよ。」




笑ってみせる私に、歳三くんは半信半疑の視線を送る。

そんなに心配なら、初めからそうしなきゃいいのに。




……だけど、それは歳三くんを否定してしまうから。

そうしたければ、好きなだけ色んな人の荷物を背負えばいい。

それがなにより、歳三くんらしいから。




それでいいから、どうか一つだけ。










「……歳三くんが、無理しませんように。」










吐いた息が、白い。

手をすり合わせれば、カサカサと肌が音を鳴らした。




「歳三くんは頼りになるから、みんな歳三くんを頼るんだよ。」




そういうところも、歳三くんの素敵なところ。




「でもさ、歳三くんは皆のものじゃない。」




こんな寒い日も、どんな日も、貴方を待ち続けているから。




「私のものだってこと、忘れないで?」




ぎりぎりまで無理して、どこかに消えてしまうなんて許さないから。




「……馬鹿野郎、言われなくても忘れてねぇよ。」




ツリーがきらきらと光る。

ピークの時間を過ぎたら、あっという間に人がいなくなっていた。




「初めから、俺はお前のもんだ。」













二つの影が重なった時、てっぺんのお星様がお空に飛んで行った。




そう見えたんだ。



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