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「車のヒーターが壊れてるって知らなくて、ごめん。」
ホットワインの湯気でコニーの黒縁の眼鏡が曇る。
「ううん。夜景きれいだった。わざわざ車用意してくれてありがと。」

一緒に飲みたいからとバーをドライブの後にしてもらっておいてよかった。
HERO'S BARは適度に騒がしく、大きなモニターにはヒーローの活躍映像が流れている。
HERO TVが始まるとすごい盛りあがるんだろうな。

「今日は楽しんでもらえた?」
「もちろん!」
電気街は小さくても個性的なお店ばかりだったしロボキットも買えたし、車を借りてまでしてみせてくれた夜景は本当にきれいだった。
それにコニーとのおしゃべりはすごく楽しい。
守秘義務さえなければ仕事の話もしたいのだけど…
そう言うとコニーは、まあねとため息を吐いた。
「言えることと言えないことがあるのはしょうがない。僕も仕事絡みの話は仕事仲間としかできないですしね。」
だよねー。
バーナビーとはそういうことを気にせずに話せてよかったな。
「今回の出張先が技術協力してる企業の人といろんな話したんだけど専門分野が違う人の話って興味深いよね。」
そう言う意味でもコニーともっといろんな話ができたら楽しいだろうなあ。
「今日はほんとはその人と回りたかったんじゃないですか?」
ええ?まあ、バーナビーに案内してもらうなんて夢みたいだけどさ。
「コニーに案内してもらえて嬉しいよ!それにその人はなんていうかエリートみたいな?私がプライベートでお話出来るような人じゃないから!!それにコニーとだっていろんな話できるじゃない。」
「まあそうだけど…」
俯いたコニーの表情は帽子と眼鏡にかかった長めの栗毛せいでわからない。

ワッと上がった歓声に振り返るとモニターにブルーローズが映し出されていた。
テロップは『新曲、聞いてくれなきゃ凍らせちゃうぞ☆』
コニーがふはっと笑った。
「ブルーローズ、かわいいよねえ。」
「彼女はがんばってますね。」
あ、なんかいつものコニーに戻った?
「シュウからブルロのグッズのお土産頼まれてるんだ。人気のものってある?」
「うーん…僕はそういうの疎いので詳しい友人に聞いてみます。リンはどのヒーローが好きですか?」
かっこいいのはもちろんバーナビーだけど…
「ロックバイソンが気になる。」
「えっ!?」
そんなに驚く?
「あのスーツ重そうだけど素材なにかな。銃弾弾いてたよねー。」
くくくとコニーが笑う。
「リンはやっぱり楽しい人ですね。」
えー、なにそれ。
だって気になるでしょ、あの角の役割とか!!


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