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斉藤さんのラボは鼻血がでそうなほどすごかった。
発想も着眼点も面白いし、私達が開発したものはさらに改良されてスーツに搭載されていた。
BBJに会えるかもなんて考えが頭から完全に抜けて虫型の超小型カメラに夢中になっているとラボのドアが開いた。
「斉藤さーん!また調子悪いんすけどー…っとお客さん!?」
変わった髭の男性はニコニコと人懐こそうだ。
斉藤さんが私のことを紹介してくれる、たぶん。(私からは聞き取れない)
「よろしく、リンちゃん!」
差し出された手は大きくて温かい。
ええと、この髭どっかでみたような…
「あ!タイガー?」
思わず出た言葉にその人はニカッと笑った。
「チェイサーを何度も海に落とす壊し屋だよ!キヒッ」
斉藤さん、ビミョーな紹介ですね。
ってかチェイサー!!昨日マンスリーヒーローで読んだ!
「チェイサーも特別な仕様なんですか?何か搭載してます??」
私の若干食い気味の姿勢にも関わらず、斉藤さんはすぐにダブルチェイサーのデータを見せてくれる。
細かい色々な機能がついている。これを海ポチャかぁー…
「すんません」
あ、口に出てた。
「三回目からは防水も考えてここの部分を…」
ほうほうなるほど。
「…だからって落とさないでくれよ、タイガー。」
私と一緒に説明を聞いていたタイガーは首を竦めた。

スーツの性能について斉藤さんが詳しく、タイガーはユーザーの視線で話してくれる。
現場の話は参考になるし面白い。
耐久試験の話で盛り上がっていたらまたドアが開いた。
「ちょっと虎徹さん!!」
鋭い声とともにあのブロンドが現れた。
すっかり忘れてたけど、タイガーってバーナビーのバディだった。

斉藤さんが紹介してくれるけど全然頭に入ってこない。
かっこいい…キラキラしてる…
斉藤さんの「…ここの部分が彼女のチームの開発した技術だよ」という言葉にはっとする。
そうだ、仕事で来てるんだった。
なるほど、と頷いたバーナビーさんは少し専門的な質問をしてきた。
仕事に切り替えた頭で出来るだけ正確で的確に答える。
バーナビーはユーザーと制作の両方の視点で話が出来る人のようだ。
時折はさまれるスマイルに心臓が跳ねる。
ダメダメ、これは仕事。
「っと、すみません。もう仕事に戻らなくては。」
眉を下げた表情もかっこ良かった。
「リンさんはしばらくこちらに?もしよかったら改めてゆっくりお話しませんか?」
ただただ頷く私にバーナビーはニコッと微笑んでくれた。
名刺を渡す手が震えそうだった。
「じゃあ今夜にでも連絡します。興味深いお話ありがとうございました。」
バーナビーは爽やかにラボから出て行った。
タイガーは小さく手を振って出て行く。
面白い二人。あの人達がこのスーツを着てるのか。なるほど。
連絡、来るのかな…


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