2

”SBのヒーローってものすごい人気なんだね。空港にでっかいポスターあってびっくりした。早速ミュージアムに行って来たよ!”
コニーへメッセージを送ってベッドに転がる。
流石にBBJがかっこ良すぎてヤバいとかミーハーなことは伏せておく。
明日は仕事。旅行ではないのだから早く寝て明日に備えなければ。
そう思うのに昼間のBBJを思い出して頬が緩む。ミュージアムで買ったマンスリーヒーローのBBJ特集号をもう一度だけ読んでから寝よう。


コニーは頻繁ではないけれどちょこちょことメッセージのやりとりをするネットの繋がりの友人だ。
知り合ったのは2,3年くらい前だと思う。
地元でちょっと大きなITとかコンピュータとかAIとかのシンポジウムがあって、そのついでにいつもいくサイトのオフ会も開かれたときに友人のシュウが連れて来た。
インターネット上のフォーラムではお互い知っていたから会ったのは初めてでもすぐに打ち解けた。
フォーラムでは私はそんな高尚な話はしないけど、みんなのトークを見ているのが面白い。
コニーは話題を選ばず知識だけでなくユーモアもあって楽しい人だ。
旅行中に立ち寄ったという彼は三日後には別の都市へ旅立っていった。
『続きはネットで』と笑って。
オンラインのフォーラムにリアルタイムで参加することはあまりないけれど掲示板では度々名前を見かけるし、シュウと三人のプライベートなグループトークは時間が開くことはあっても途切れていない。
今回SBへ来ることになって真っ先にこの街に住む彼の事が浮かんで連絡をした。
いくつかの質問の後送られて来た、とても詳しく書かれたSBおすすめ案内はなんだか彼らしかった。


朝、コニーからの返信が来ていた。
仕事が忙しくて案内出来ないことへのお詫び(n度目)のあと、『ヒーローシステムの始まりの街ですからね。ヒーローに興味があったらHERO'S BARもいいよ』と書いてあった。
ふんふんなるほど。バーなら仕事の後に行けそうだ。
仕事場へ向かう途中にいくつもあのBBJのポスターを見た。
あーやっぱりかっこいい。
空港で初めに見たのは時計の広告だったからモデルか俳優かと思ったらヒーローだったなんて、あの力強い腕に納得だ。
抱きしめられたことを思い出してちょっと頬が熱くなる。
深呼吸しながら研究室のドアを開けるとBBJのヒーロースーツ(模型)が目に飛び込んで来て息がとまった。

企業への技術提供の一つがヒーロースーツだと教授が説明してくれる。
ただの甲装ではなくテクノロジーの固まりだった。そりゃそうか。
昨日読んだマンスリーヒーローには外見の説明しかなかったのは企業秘密なのだろう。
教授が紹介してくれた斉藤さんは最初は声を聞き取るのに苦労したがとても面白い人だった。
内緒だよ、と見せてくれた映像はヒーローの視界そのままを作った動画で瞬時に複数のデータが表示されるヘルメットの構造には体温が上がるくらい興奮した。
午後からはラボを案内してもらう約束をして、もしかしたらBBJに会えるかもなんていう淡い期待が一瞬だけよぎった。
コンピュータばかりを相手にしてるけど、イケメンにはときめくことだってある。
誰だって美しいものには惹かれるものでしょ。
まあ、頭の中の7割は今見せてもらったディスプレイのデータとシステムに占められていたけれど。




[ 2/23 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む][トップページ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -