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”今度シュテルンビルトへ行きます。二週間の出張なので少しは観光する時間も取れそう。
おすすめのスポット教えてください!”


コニーからの『ここがおすすめ!』リストを書き込んだ地図を見ながら入国審査ゲートへ向かう。
飛行機ではそこそこ眠れたしホテルに荷物を置いたら早速出かけてみようかな。
地図を片手で広げるのに苦心していたら地面が消えた。
げ、階段だ。落ちる!
身構えた時誰かが引き寄せて助けてくれた。
スローモーションみたいに腕が伸びて来て私の手首を掴んでそのままふわりと抱きしめられる。
ブロンドが揺れてなんかいい匂いがした。
「っと。大丈夫ですか?」
息がかかる距離に慌てて飛び退く。
「だだだ大丈夫です。ありがとうございます!!!」
何だこの人めちゃくちゃかっこいい。
よかった。と眼鏡を直しながらニコリと笑うその顔に見惚れる。
「シュテルンビルトへようこそ。楽しんでくださいね。」
落とした地図を拾ってくれると、そう言ってまたにっこりした。
言葉が出てこなくてただ頷いた。
軽やかに階段を下りていく後ろ姿もまたかっこ良かった。

名前だけでも聞いておけばよかったとゲートでさっきの彼の姿を探したけれど見つからない。
ようこそ、と言っていたからここの土地の人なのだろう。
私が入国審査で手間取っている間にとっくに行ってしまったらしい。
もう一度どこかで会えたりしないかな。
映画みたいな運命的な感じに…
くるんとしたブロンド、長くたくましい腕、形の良い口、全体の美しさを損なわない程度にちょこっと上を向いた鼻、そして優しく輝くグリーンアイズ。
あんな一瞬のことなのに写真を見るように鮮明に思い出せる。
神様どうかもう一度彼に会わせてください。せめて名前だけでも知りたいです。


私の望みは到着ゲートを出たところで早速叶えられた。
彼の名前は、バーナビー・ブルックス・Jr.
大きなポスターの中でさっきの彼が微笑んでいた。


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