その後-おまけ

「や…」
小さく体を震わせるマナ。
僕の膝の上で頬を上気させて上目使いでそんなことを言っても煽っているようにしか聞こえない。
「じゃあどんなことならいい?」
耳元でマナの好きなトーンで囁く。
Tシャツの裾から手を入れるとびくんと体が反応する。
「ね、ほんと、だめ。人が来ちゃう。」
「機材トラブルはあと一時間はかかるって言ってました。」
まだ何か言いたそうな唇を塞ぐ。
久しぶりにマナがメイクを担当してくれるっていうのに、OBC社内で会ったときから素っ気ない。
ビジネスライクなマナもいいけど控え室でくらい恋人に戻ってくれてもいいじゃないか。
他人行儀な態度をとるマナに、ついイタズラしたくなってしまった。
深いキスをするとマナはスイッチが切り替わる。
抗議の声が吐息に変わって僕はほくそ笑む。
マナをソファに押し倒そうとしたところでノックの音が響いて思わず舌打ちした。

撮影は早く終わった方がいいにこしたことはない。
んだけど、あのタイミングはないだろう。
こうなったらさっさと終わらせて連れて帰ろう。この後のスケジュールがないことは把握している。
プリンススマイルと賞される笑顔を量産して、ついでにカメラの向こうのマナに向かってウィンクした。
「オッケーでーす!」の声でマナに駆寄るとジョニーが一緒だった。
マナの上司だ。僕とマナのキューピッドと言っても過言ではない。
「今日もステキね。」
「ありがとうございます。」
「ね、この後三人で食事どう?」
マナは僕をチラと見る。
「すみません。今夜はちょっと…」
マナの腕をぐいと引っ張る。
「そうよねー。うふふ。邪魔しちゃ悪いものね。」
マナはぱっと顔を赤らめる。
ジョニーがぐっと僕に近寄ると、僕の首をトンとつつく。
「おいたは程々にね。」
そういうと、じゃ!と去って行った。
つつかれた首を押さえながらマナを見ると、マナのその位置にくっきりと僕が付けた痕が残っていた。
…。
本人は気づいてないみたいだからいいか。気づいたら怒られるんだろうな。
怒った表情も可愛いからたまには怒られるのも悪くない。

控え室の鍵を閉めて、片付けを始めたマナを後ろから抱きしめる。
「ここじゃだめ。仕事中。」
「どこならいい?」
耳たぶを齧る。
「っっ。帰ってから!」
「待てない。」
マナの手からボトルを取り上げ机に戻す。
「邪魔しないで。片付けしないと帰れないでしょう。」
「後で手伝う。」
マナの体を反転させて強引にキスする。
僕の腕を叩くその手には力が入っていない。
ああもうかわいいなあ。
Tシャツをまくり上げて柔らかな胸を撫でる。
ブラジャーをずらして小さな突起を啄んだとき、マナが
「やだぁ…」と声を出した。
泣きそうなその声に焦る。
「ごめん!ごめん、マナ。もうこれ以上しないから。」
マナが僕に抱きつく。
顔を胸に押し付けたまま、何か言った。
「うん?」
「ここでしたら仕事の度に思い出すから、だめ。」
真っ赤な耳を見つめたまま固まった。
マナをつれてハンサムエスケープしなかったのは褒めてもらいたい。
光の速さで片付けをして、ぎりぎりの速度で車を飛ばして帰った。
信号待ちの間にキスしようとして、見られたら困るでしょ!と怒られたのも仕方がない。

リビングのソファに押し倒した僕に向かって
「そんなにしたかったの?」
って、そういうことじゃない。
いや、マナの前ではいつでも飢えた野獣かもしれないな。
「マナがかわいいことばかりするからです。帰るまでちゃんと我慢したんですからご褒美くださいね?」
「いいよ。」
ニヤッと笑ったマナからは大人の色気が漂ってきて、僕はまたクラリとした。


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