まったく、あいつは何なんだ! 

ことの始まりは修学旅行の一日目の日程を終えてホテルに着いたときのこと。私は神楽ちゃんと九ちゃんと同室。夕食の時間までは少し時間があるから、禁止されてはいるけど他の部屋へ遊びに行ってしまった神楽ちゃん。そして妙ちゃんの部屋に一目散に向かっていってしまった九ちゃんを見送った後に、それは起こった。
電話の内線が鳴ったのだ。先生から特別な時間変更の電話という可能性があるからとりあえずでてみた。
「もしもし」
『おー、名前?』
「・・・」

(ぷつっ)

反射的に切ってしまった。

どうして切ってしまったのかというと・・・。
「・・・・・・今の絶対、銀八先生だ」
私はあの人と付き合っているから。教師と生徒がそんな関係だってバレたらお互いただでは済まない。
だから気付かれないように学校ではあまり関わらないようにしている。
その反射で、学校行事である修学旅行中の今も瞬間的に電話を切ってしまったわけだ。

・・・・・・普通に予定変更とかの電話だったかもしれないけどよかったのかな?
「ま、どうせ悪戯だろうからいっか!」
大事な用なら他の部屋にもかけてるだろうし!そう自分に言い聞かせ、私も神楽ちゃんたちの所に遊びに行くことにした。





「ふー、お腹いっぱいアル!」
「神楽ちゃんのその膨らんだお腹みてるだけでこっちもお腹いっぱいだよ・・・」

あの後時間を忘れて遊び過ぎて夕食の集合時間ぎりぎりになりながらも皆で楽しい時間を過ごした後、あとはシャワーを浴びて寝るだけ、というのが今の状態。ちなみに今は九ちゃんがシャワーなう。
神楽ちゃんはもう半分寝てしまっている・・・。

私もうとうとしてきたところで、電話の音でいきなり意識が戻された。

「・・・もしもし」
『お、名前眠そうな声してんな』
「・・・今からシャワー浴びるんで切ってもいいですか?」
『え?何覗きにいけばいいの?』

(ぷつっ)

このままあっちのペースに持って行かれそうだったから、また切ってしまった。




シャワーを浴びて浴室から出てくると時間は12時。先にシャワーを浴びた九ちゃんと、シャワーを浴びていないはずの神楽ちゃんは既に寝てしまっていた。・・・2人とも相当疲れてたんだね・・・。
内心、ちょっと呆れていたところで部屋のドアをノックする音が聞こえた。
(コンコン)
「はーい」

多分、先生たちの見回りだ。




・・・。
「なんで銀八先生なんですか」
「なんでっていわれてもなぁ、俺がお前らの担任だからだろ」
「ってきり月詠先生が来るんだと思ってました」
「ったく、今日の名前はつれねぇな・・・ベッドの上じゃあんなに可愛い・・・「私がいつ先生と夜をともにしましたか!?だいたい先生は仕事ばっかりで全然構ってくれな・・・っ!」

最後まで言い切る前に抱きしめられた。

「・・・案外可愛いところあるじゃねーか」
「案外は余計です」

寝ている2人が起きてきて、見られてしまう可能性はあっても今少しだけ一緒に居たかったから、私からも腕を回し、抱きしめた。


・・・と、ほのぼの(?)していたのもつかの間。


「・・・・・・先生、ちょっといいですが?」
「ん?」
「さっきから先生の手が私の体を弄るような動きをしているような気がしないでもないんですが・・・?」 
「そりゃそうだ。脱がそうとしてるからな」
「出て行ってください」

あ、手が滑って先生の鳩尾に一発入れてしまった(棒読み)

「普通殴るか!?」
「すみません手が滑って」
今までにない笑顔で返してやった。


「俺はただ不安そうなお前を安心させてやろうとスキンシップをだな・・・」

「しってますか?今先生がしてたのはセクハラって言うんですよ。だからとりあえず出て行ってください」
先生を無理やりドアの外に押し出した。そしてわざとらしい満面の笑みで言ってやった。

「おやすみなさい」
(バタンッ)


ドアを閉めて一息ついた。

わざとつれない態度をとってはいたけれど、内心嬉しかった。付き合ってから抱きしめられたことだってなかったから。


とは言ってもやっぱりさっきのはセクハラだとしか思えませんでした。
アレ・・・作文?




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