ミレイユは答えに詰まる。

守護神として存在すること。
それは当然国を守るということ。

だけど、ミレイユは国を守るという行為を見たことがない。
ヴィムとして一緒にはいたが、その獣が神らしい行動をしたことはなかった。
ずっと一緒にいたのに。
それこそヴィムと神が共に在るようになった頃から、側にいたのに。

ヴィム以前の人物のときは、守護神としての仕事もあったのだろうか?
聞いたことがない。
だが、守護神はずっとオベール家の人間が受け継いできたと聞く。
オベール家や、王家の人間だと知っているのだろうか。

「わからぬか」

考え込んでしまったミレイユを見て、守護神はくすりと笑った。

「ただここに居ることだ。守護神として、この国に在ること」

ここに居ること。
神のくれた答えを、ミレイユは口の中で呟いた。
守護神として、この国に在ること。

「現実に国をつくるのは、王であり国民だ。人が人の為に国をつくる。神が手を貸す理由などない。ただ、必要とされて象徴となる。国と人の安寧の為に。……わかるか」

ミレイユは神の言葉をひとつひとつ頭の中で噛み砕いて頷く。
神もそれを見て頷いた。

「ここに儂が在ることが、国を守るということ。国を成り立たせるということ。ヴィムにとってのそなたも、そのような存在なのだ。そなたがヴィムの傍にいるということが彼を成り立たせるということ、儂を守るということだ」

そして、続けたのはそんな言葉。
ミレイユが戸惑い、揺らした視線を、神は逃さぬように金の瞳で捉えた。

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