ひんやりとした手で頭を撫でられて、その温度の心地良さにうとうとする。
頭上から話し声が聞こえてきて安心する。

聞き慣れたレイモンの明快な声。
その間に知らない男の人の声が交じっていて、ミレイユはふと目を開けた。

ふわふわと揺れる金色の髪。
ああ、ここにいたのか。
ミレイユはほっとして彼の名を呼ぶ。

「……ヴィム」

呼ばれて目を向けたのは、ヴィムと同じ金の瞳の、知らない男の人だった。

「おはよ」

向けられた大きな目が、柔らかく細められる。
正面には天井と男の顔。
優しく撫でられた頭が徐々に覚醒してきて、男の膝で眠っていることに気づき、ミレイユは悲鳴を上げて飛び起きた。

「目が覚めたか、ミレイユ」

レイモンの声が掛かって、ミレイユは反射的に飛び退こうとした体を押し留める。
今まで暮らしてきた、オベール家の屋敷の居間。
テーブルを挟んだ向こうに、レイモンとアデリア。隣には金の髪の見知らぬ男。

「落ち着け、ミレイユ。大丈夫だ」

状況を読み込めず目を見開いて、逃げ出そうと構えた姿勢のミレイユを見てレイモンが苦笑する。
説明を求めるようにレイモンを見ると、彼はなだめるような、面白がるような口調で答えをくれた。

「ヴィムだよ、ミレイユ。わかるだろ?」

ミレイユの隣を示して、レイモンが言う。
つられて向けた視線の先で、男がふっと微笑む。
首を傾けた拍子に見慣れた金の髪が揺れて、ミレイユは訳もわからずにぽかんと口を開けた。

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