「これがヴィムの本来の姿。ヴィムは、もともと人間なんだ」

レイモンはそう言って、何と言ったものかと考えるように首を捻った。

「オベール家は王家の守護神を祀る一族。我が国の守護神は獅子であり、即ち、それがヴィム。正確に言えば、その神を宿すのがヴィムだ」

ミレイユのお茶を用意させ、彼女が少し落ち着いたところで、レイモンは説明を始めた。

王家の守護神のこと。
オベール家が守護神を祀ること。身体を提供し、受け継いでいくこと。
それにヴィムが選ばれたこと。
その過程で、体を支配されたこと。

全て聞いた後、ミレイユはくらりと眩暈を覚えた。

「で、では、ヴィムは神様が宿って獣の姿になっていて……」

「七年たって、やっと姿を取り戻してこうなったわけだ。なぁヴィム」

レイモンに話を振られて、隣で悠々と足を組んで座る彼はミレイユを見て笑みを浮かべた。

「ようやくだよ、ミレイユ。もう間に合わないかと思った」

白い指で頬を撫でられて、ミレイユは驚いて固まる。

長い間そう呼び続けてきたように名前を呼ぶ、気の強そうな声。
整った顔は生意気そうで、人を寄せつけないオーラを醸し出している。
そのくせミレイユに向ける瞳は懐っこく、ヴィムと同じもの。
おかげでミレイユは手を振り払うこともできず、どうしていいかわからずにレイモンに視線で縋る。

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