掴まれた腕と繋いだ手



冬に近付いているのか朝晩が更に寒くなった気がする。
朝の目覚めはいつも寒くて目を覚ます。
布団をかぶり直しても寒い日が増えた気がする。

私はベッドから体を起こして、急いで着替える。
団服に腕を通して、私は少し早めに食堂へ向かった。

「あれー?なまえちゃんじゃん!朝、早いね!」
ハンジさんが私に気が付いて手を振っている。
「あっ、ハンジさん!おはようございます」
「おはよう!」
「最近寒くて、いつもより早めに目が覚めちゃうんですよ」
私はハンジさんの前に座る。
「そうだよね!寒くなったよね。あっ、そうそう。リヴァイが昨日風邪引いたらしくてさ、赤い顔してボーッとしてるんだよ!珍しい光景でさ!」
ハンジさんは楽しそうに笑っている。
「リヴァイさんがですか?…昨日外で立体機動の訓練だったから風邪引いたんですかね…」
私は昨日の立体機動の訓練を思い出す。

昨日は確かに寒かった。
風が頬を刺すように冷たかった記憶がある。
ペトラさん達も"寒い"ってずっと言っていた。

「まぁ、そういうことだからさ。なまえちゃん、リヴァイの様子見てきてよ!」
「えっ!?私がですか?」
私は驚いてハンジさんを見る。
「うん。リヴァイの適任はなまえちゃんしかいないじゃないか!」
ハンジさんはニンマリと笑って立ち上がり、私の肩をポンと叩く。
「よろしく、頼むよ!」
そのままハンジさんはヒラヒラと手を振って食堂を出て行ってしまった。
「……よろしくって…ハンジさーん」
私の小さな呟きは食堂の中で消えた。


食堂から出て、リヴァイさんの部屋の前に私は立っている。
私はまた一つため息をしてリヴァイさんの部屋をノックした。
「リヴァイさん…起きてますか?」
「……………」
返事はない。
寝ているのだろうか。

私は部屋のドアを開けるとすんなりとドアは開いた。
「リヴァイさん…寝てますか?」
私はドアから覗いて部屋を見回す。

「……………リヴァイさん!?」
そこにはソファーから落ちたのかそのまま寝ているリヴァイさんを見つけた。
私は急いで駆け寄る。
「リヴァイさん?……大丈夫ですか?」
するとリヴァイさんは目を開けて私を見る。
「……なまえか。なんだ、用事か?」
リヴァイさんはダルそうに起き上がる。
「いえ、ハンジさんからリヴァイさんが風邪を引いたと聞いたので様子を見に来たんです……」
「…あの、クソメガネ…」
リヴァイさんは舌打ちをして立ち上がろうとするとふらりと揺れる。
「わわわっ!リヴァイさん!危ないですから、早くベッドに!」
私はリヴァイさんの肩を支える。
「悪いな…」
リヴァイさんをベッドまで支えれば、そのまま寝てもらう。

「ちょっと失礼しますね!」
私はリヴァイさんの額に手を当てる。
「……かなり熱いじゃないですか。薬飲みましたか?」
「……いや、飲んでない」
「ご飯とか水分摂ってますか?」
「……ご飯は食欲なくて昨日は食ってないな。水なら寝る前に飲んだが……」
「ダメですよ!ちゃんと少しでもご飯食べなきゃよくなりません!!水分ももう少し多めに摂るべきですよ!」
私は勢いよく言った後"はっ"として両手で口を押さえた。
「すみません…言い過ぎました」
「…いや、お前の言ってることは当たってる。なんか悪いな」
「とりあえず、ご飯作ってくるので寝て待ってて下さいね!」
私はそのままリヴァイさんの部屋を飛び出した。


キッチンへ行けば、お粥といっても日本とは違いお米が今はない。
仕方ないのでパン粥にしようと思い、火にかけてパン粥を作り始めた。
作っている間に薬を用意して忙しくなく動く。

「よし…できた!」
私はお盆にパン粥と薬と水を乗せてリヴァイさんの部屋へ運んだ。

片手で持ち、ドアをノックして部屋に入る。
「リヴァイさん、パン粥ですけど食べられますか?少しでも食べた方がいいので…」
「あぁ…悪いな…」
リヴァイさんはゆっくりと起き上がり、こちらを向く。
いつもの目付きの悪さが更に悪くなり、顔色もあまり良くない。

私はベッドの近くに椅子を持って行き、椅子に座る。
私はパン粥をスプーンで掬い、"ふーっ"と冷ましてからリヴァイさんの口元へ運ぶ。
「はい、リヴァイさん。熱いですよ?…あーん」
「……自分で食える」
そう言いながらもリヴァイさんは私が差し出したスプーンに入るパン粥を食べた。

「美味しいですか?」
「……あぁ。自分で食う」
リヴァイさんはそう言って私の手からスプーンとパン粥を奪い、食べ始めた。
「そんな急いで食べなくてもいいんですよ?」
「…あぁ」

しばらくするとパン粥は空っぽになった。
「美味しかった…悪いな、作らせて…」
「いえ、気にしないで下さい!薬も飲んで下さいね!」
リヴァイさんに薬を渡せば、リヴァイさんはコップに入った水と一緒に薬を飲んだ。

「あとは寝て治して下さいね!…それじゃ私は訓練に戻りますね」
私は椅子から立ち上がるとリヴァイさんが私の腕を掴んだ。
「……リヴァイさん?」
「…もうしばらくここにいろ」
「………えっ?」
リヴァイさんはその言葉を言ってから黙っていたが私の腕は離さなかった。

私は微笑んでそのまま椅子に座る。
「…もう少しだけですよ」
椅子に座ったのが分かればリヴァイさんは腕を離してくれた。
私は離された手を握った。
リヴァイさんは驚いた顔をする。
「リヴァイさんが寝るまで握ってあげますよ?」
「…バカか。俺は子供じゃねぇ」
「分かってますよ。私も昔はお母さんに握って貰ってたのを思い出します」
私はリヴァイさんを見て微笑んだ。

「……ありがとな」
リヴァイさんはぶっきらぼうに言うとそのまま布団を頭の辺りまでかぶった。

そんなリヴァイさんに私はクスクスと笑って窓から外を見た。
青空が広がる綺麗な空だった。



おまけ

「リヴァイ!治ったか………あれ?」
私はリヴァイの様子を見るためいつものようにノックもしないで部屋に入る。
そこにはベッドの横で椅子に座りながらリヴァイの手を握るなまえを見つけた。
リヴァイも静かな寝息を立てて寝ている。

「早く付き合っちゃえばいいのに…。本当2人はなんでくっつかないんだろ……。異世界とか関係ないのに、困った奴らだな」
私の声は誰にも聞かれず静かに部屋に響いた。
私はそのまま、リヴァイの部屋から出た。

「………早く幸せになれよ、リヴァイ」




更新が遅くなり申し訳ありません(>_<)
やっと書き上げれましたー!!
20000hit感謝いたします。
これからもよろしくお願いいたします!!




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