無理と弱音



「リヴァイ兵長、あの…」
「あぁ?……なまえ、兵長って呼ぶのやめろ。俺はお前の兵長ではない」
突然言い出したリヴァイ兵長。
確かに私はまだ調査兵団ではない。兵長って呼ぶのは可笑しいのだろうか?

「確かに私の兵長ではないですけど…それじゃリヴァイさんでいいですか?」
リヴァイへい…さんは私に兵長と呼ばれるのはそんなに嫌なのだろうか。
「まぁそれならいいだろう。…それで何だ。俺を呼んだだろう」
リヴァイさんはこちらに目を向ける。
「あっあの、私訓練生になります!そして調査兵団になります!」
私は真剣な顔でリヴァイさんに言った。
「…そうか。さっきまで弱腰だったじゃねぇか。まぁなまえが決めたなら文句は言わないが弱音でも吐いたら削ぐぞ」
巨人に殺されるよりリヴァイさんに殺される方がなんだか恐ろしい気がした。
「よ、弱音なんて言いません!…多分」
実際不安だった。会社でもしょっちゅう弱音吐いて奈緒に怒られてたから。
「ふっ…。エルヴィンのところへ行くぞ」
リヴァイさんは私の反応に鼻で笑って立ち上がった。
「私もですか?」
「当たり前だ。訓練兵になるんだろ?自分で報告しろ」
私はリヴァイさんの後ろをついていき、エルヴィン団長の部屋にやってきた。

「あの、失礼します」
私はリヴァイさんの後に部屋に入った。するとエルヴィン団長の横にはハンジさんがいた。
「君は昨日の!会いたかったんだよー!」
ハンジさんは持っていた書類を投げて私の方へと走って抱きついてきた。
「は、ハンジさん!」
私は突然のことに驚いてジタバタしてしまった。
「クソメガネ、なまえが迷惑がってるだろ」
リヴァイさんは私とハンジさんを引き離してくれた。
「君、なまえちゃんって言うの?色々話が聞きたかったんだよ。なまえちゃんが住んでる世界のこととか。巨人のことも気になるけどなまえちゃんもすごく気になるよー!」
ハンジさんは目をキラキラさせている。
私ってハンジさんにとって巨人くらい気になる存在なんだなって実感してしまった。

「ハンジ、落ち着け。なまえ用事があったんだろ?」
エルヴィン団長は落ち着いた口調で聞いてくれた。
「あっ、はい。あの…私、調査兵団になりたいです。だから…訓練兵に入りたいです」
私はエルヴィン団長の目を見てはっきり答えた。
「本当か?歓迎するよ!」
エルヴィン団長は私の手を取り握手をしてきた。
私もキュッと握り締めた。

「なまえちゃん調査兵団になるの?嬉しいなぁー。私の助手になってほしいよ!」
ハンジさんは本当に嬉しそうで、本当に助手にされそうな勢いで話していた。
「クソメガネ、要件済んだなら早く出ろ」
リヴァイさんはハンジさんを睨んでいる。
「リヴァイは怖いなぁ。じゃなまえちゃんまたね。リヴァイに虐められたらすぐに言ってね!」
ハンジさんはニコニコと嬉しそうに笑いながらエルヴィン団長の部屋を出て行った。

「早速訓練兵と合流って訳にもいかない。104期訓練兵たちは訓練を始めて半年以上経つ。さすがにそこに合流しても差が開く。だからリヴァイ、お前が1ヶ月間で半年分の訓練をしてやってくれ」
エルヴィン団長の言葉に驚いた。1ヶ月間で半年分なんてやったら体が確実にもたない。
「1ヶ月で半年か。…わかった」
リヴァイさんは普通に答えていた。
ちょっと待って下さい、私の意見はないのですか?
それもそれで死んでしまう気もする。
「…それ死にませんか?」
私は不安そうな顔で思ったことを聞いた。
「お前はバカか。そんなことで死ぬ訳ないだろ。早速明日から始めるからな」
リヴァイさんは呆れたような顔で言った。
「なまえ、リヴァイを信じて頑張ってくれ。それから1ヶ月間の部屋だが、リヴァイの隣の部屋が空いているからそこを使ってくれ。あとは団服か。今は調査兵団のを貸そう」
「ありがとうございます」
私とリヴァイさんはそれからエルヴィン団長の部屋を後にした。

「なまえの部屋はここだ。俺の隣だから何かあればすぐに言え。あとで団服を持って来させるからな」
リヴァイさんはさっさと自分の部屋に入っていった。
リヴァイさんが部屋に入るのを見てから私も自分の部屋のドアを開けた。

部屋の中は必要最低限の家具しか置いてなかった。
私はソファーに座る。

本当にやっていけるのだろうか。半年でやる訓練を1ヶ月でやるなんて無理に決まってる。
でもやるしかない。リヴァイさんに弱音を吐かないって言ったんだもん。
この1ヶ月が勝負だ。




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