決意と決断



しばらくすると部屋のドアが開いた。
戻ってきたリヴァイ兵長とその後ろから入ってきたエルヴィン団長。
私は緊張した。エルヴィン団長は私と目が合うと少し微笑んだ。

「君がなまえだね。俺はエルヴィン・スミスだ。まぁ知ってると思うが…」
エルヴィン団長はもうリヴァイ兵長から私のことをひと通り話している様子だった。
「大変だったね。こんな所に来て。別の世界から来たなんて今までに事例はないな。困ったことがあればなんでも話してくれて構わないからね」
エルヴィン団長は人の良さそうな感じだった。
リヴァイ兵長をチラリと見れば壁にもたれかかり腕組みをしてこっちを見ていた。
一瞬目が合い私は急いで視線を逸らした。

「ところで、君はこれからどうしたい?」
突然の言葉に私はエルヴィン団長を見た。
「えっと…どうしたらいいのでしょうか。住むところもありませんし、知人なんて誰一人いません」
「そうだろうね。ちょっと考えてみたんだが、ここで調査兵団の手伝いをして貰うってことも考えた。それか…」
エルヴィン団長はリヴァイ兵長の方を見た。何か言いにくいことでもあるのだろうか。
「…調査兵団になって一緒に壁外調査へ出るか」
リヴァイ兵長が言った。
私は目を見開いてリヴァイ兵長を見た。

私が調査兵団になる?…ちょっと待って。それは死にに行けって言ってるのと同じではないだろうか?そんなに私が調査兵団に入らなきゃいけないほど人不足なの?
…まぁ人不足には違いない。毎回壁外調査をするたびにたくさんの人が亡くなってるんだから。

「リヴァイは言葉が足りなすぎる…」
エルヴィン団長は溜め息をして私を見る。
「調査兵団にすぐに入れっていう訳ではない。今年の104期訓練兵に入って訓練してもらう。調査兵団になるには必ずの条件だ」

「いや、あの…私は運動とかそんなに得意じゃないですし、立体機動装置も使えないと思います」
私は否定をした。だってこんな所で死にたくない。それだったら絶対調査兵団のお手伝いした方が全然マシだもん。

「だろうな…。お前が運動出来るとは思えん」
リヴァイ兵長は鼻で笑うように言った。
…リヴァイ兵長、確かにそうかもしれないけど結構鼻で笑われると傷つきます。

「まぁリヴァイもそう言うな。まぁなまえ、考えてくれ。今日は失礼するよ」
そう言ってエルヴィン団長は部屋を出て行った。

エルヴィン団長が出て行ったドアを見つめれば溜め息が聞こえて食器棚からティーカップを出すリヴァイ兵長がいた。

「俺たちがどんなことしてるか知ってる奴に調査兵団に入れってのはちょっと無理だろうな」
紅茶を入れてるのだろう。部屋に紅茶の匂いが広がる。
「…皆さんの役に立てて運動神経もあって頭も良かったら調査兵団に入っても多分やっていけると思いますが、私には多分無理かと…」
奈緒ならどうするのだろう。立体機動装置使って飛びたいとか言ってたな。きっと調査兵団になるだろうな。

「練習すれば誰でも出来る」
リヴァイ兵長は短くそう言えばいつもの持ち方で紅茶を飲み始めた。

…私は今後の未来を少しだけ知ってる。女型巨人の最後までは分からないけど。
助けられる命もあるのかもしれない。主要人物だけじゃなく映っていない死んじゃう人たちを助けられるかもしれない。死者を少しでも減らせるかもしれない。
…でも所詮はかも程度。私にそんな力があるなんて思えない。……でも助けてあげたいのは事実。
「リヴァイ兵長…私は調査兵団になれますか?」
私は真っ直ぐリヴァイ兵長を見つめた。

「……あぁ。本気で意思があるならなれる」
リヴァイ兵長は驚いた顔をしたがすぐに真剣な顔で答えてくれた。

きっと『誰かを助けられますか?』って聞いたら『自分の命を優先しろ』とか言われるんだろうな。
知ってる未来は誰にも言わない。少しでもこの世界で役に立ちたい。
そのために私はここに来たような気がするから。

私は調査兵団になるために…104期訓練兵になります!




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