何が見える?



「おい、なまえ起きろ!」
突然聞こえた声で私は目を覚ます。

「……リヴァイさん?」
私は目を擦りながら覚醒していない頭でリヴァイさんを見上げた。
どうしてリヴァイさんがいるのだろうか。
ここは私の部屋だ。
「…生け捕りにしていた巨人が殺された。今から現場に向かう。早く準備をしろ!」

リヴァイさんの言葉で一気に目が覚める。
「ソニーとビーン!!」
やっぱり殺されたんだ。
「今すぐ準備します!」
リヴァイさんは私の言葉を聞けば頷いてそのまま部屋を出て行った。

私は急いで着替える。
やっぱり昨日ソニーとビーンは殺された。
一体誰に?何の目的があって?
私はそこまでアニメを見ていない。
唇を噛み締めて私は団服を着て、部屋を飛び出した。

「なまえちゃん、おはよう」
ペトラさんが先に来ていて挨拶をしてくれた。
「おはようございます」

「ソニー…ビーン…」
ハンジさんは真っ青な顔をしてその場に膝をついて倒れ込んでいる。
「ハンジさん…」
私は掛ける言葉が見つからずにそのままハンジさんを見ていた。
チラリと視線をエレンに移せば、エレンの目の下にははっきりと隈が出来ていた。

全員が揃った所でみんなで馬に乗って現場へ急ぐ。
ハンジさんは全く元気がない。


現場に到着すればハンジさんは急いで馬から降りてそのまま巨人2体に向かって走って行く。
「うわああぁぁぁぁぁ!!ソニー!!ビーン!!嘘だと…嘘だと言ってくれーーっ!うわぁぁ!」
ハンジさんはソニーとビーンの蒸気の中で絶叫していた。

「貴重な被験体を…兵士がやったのか?」
「あぁ、まだ犯人は見つかってない。夜明け前に2体同時に殺られたらしい。見張りが気付いた時は立体機動で遥か遠くだ」
「2人以上の計画的作戦って訳か…」
少し離れた所でエルドさんとグンタさんが喋っているのが聞こえた。

もう少し離れた所ではペトラさんがオルオさんのみぞおち辺りに肘を入れてるのが見えた。
きっとオルオさんが変な発言でもしたのだろう。

「これは…一体…」
私の隣にいるエレンが呟いた。
「行くぞ!後は憲兵団の仕事だ」
そう言ってリヴァイさんはそのまま馬が待っている方向へと歩いて行ってしまった。
「エレン…行こう」
私はエレンに声を掛けてその場を離れようとした時突然後ろから肩を掴まれた。

「君達には何が見える?」
それはエルヴィン団長だった。
エルヴィン団長は私とエレンの肩に手を置いて言った。
「敵はなんだと思う?」
私とエレンはエルヴィン団長に驚いた顔をしてそのまま固まってしまった。

エルヴィン団長の言う敵とはなんだろう…。
巨人?……それとも…?
「すまない。変なことを聞いた」
エルヴィン団長はそのまま私達から離れた。
そして待っていたのかその場で止まっていたリヴァイさんとエルヴィン団長は一緒に歩いて行った。

私とエレンはその場から何故か動けなかった。


ソニーとビーンを殺した犯人捜しをしたが結局その犯人はいまだに分からないらしい。
立体機動を使ったのだからすぐに分かるものだと思ったけど見つからないなんて犯人はどんな風に免れたのかすごく気になった。


次の日の朝はリヴァイさんとエレンとグンタさんとエルドさんで"商会に出る"と言って朝から古城を出て行ってしまった。
今ここにいるのはペトラさんとオルオさんと私の3人。

私達は今は庭の掃除をしている。
ここの敷地は広すぎて昨日の内には庭掃除は終わらなかったからだ。
「そういえば今日は新兵勧誘式だったな」
オルオさんが言った。
「そうだったね。志願する人いるのかな」
ペトラさんが呟いた。
「……いますよ。私の友達で志願している子は数人います」
「そっか。でもあんなことがあった後だもんね。きっと志願を辞める子もいるだろうね」
ペトラさんが箒を持って言った。
「ふん。そんな腰抜け野郎はいらないな」
オルオさんはリヴァイさんの真似をしてるのか私はオルオさんを見ながら苦笑いをする。
「……本当にオルオ、兵長の真似するのやめて」
ペトラさんがオルオさんを睨んで言う。
オルオさんはそんなペトラさんの言葉を気にしてない様子だ。
この2人は同期で仲が良いのか悪いのか私には疑問だけどきっと仲は良いんだろうなって勝手に解釈する。


夕方に商会からみんな帰って来た。
夕飯を食べて私とペトラさんで片付ける。
片付けが終われば今日は部屋にすぐに戻った。

早めに寝ようと思っていたが中々寝付けない。
私は食堂に戻って牛乳に温めてカップに注いだ。
そういえばエレンは地下に1人でいるんだなと思い、もう1つカップ出せば牛乳を注ぐ。
私は2つのカップを持って地下へと向かった。

「エレン、起きてる?」
「うん?なまえか」
私はエレンを見れば微笑んでカップを1つ渡す。
「温めた牛乳だけど良かったら」
「おっ、ありがとな。どうしたんだよ、なまえが来るなんて珍しいな」
エレンは牛乳を飲みながら言った。
「たまにはエレンと話そうかなって。今日、新兵勧誘式だったんだよね。みんなどうしたのかな?」
「さぁな。でも調査兵団に志願する奴は少ないんじゃないか?あれだけ巨人に食われるとこ見たらさすがにショックだろうしな」
「そうだよね。私も巨人を見たの初めてだったけど手震えちゃったもん…」
私は苦笑いをした。

「なぁ、どうしてなまえは調査兵団に志願したんだ?」
エレンにジッと見られて言われた。
私はエレンの問いかけに答えられず目を逸らす。
「…私はそんなエレンみたいに明確な理由はないの。ただ少しでも調査兵団の役に立てたらいいかなって思って…」
「そっか…」
「エレンは巨人になれる力があるんだもん。大丈夫!きっとエレンなら全ての巨人を駆逐できるよ!だから頑張ろうね!」
私は微笑んで言った。
その微笑みにエレンも笑ってくれた。
「頑張ろうな」

そして私はしばらくエレンと雑談をしてからカップを2つ持ってエレンの部屋を出る。
「おやすみ、エレン!」
「あぁ、ありがとうななまえ。おやすみ」

久しぶりにエレンとたくさん話せたことはすごく嬉しかった。
1度食堂に寄れば意外な人物がいてギョッとする。
「……何をしている」
「…リヴァイさん」
私はリヴァイさんの姿に苦笑いをする。

「えっと、エレンと少しお話を…」
「ほぉ、エレンとか。そんなに楽しかったのか?」
リヴァイさんの声がいつもより低い気がする。
これは怒っているのか?
「…同期ですから、久しぶりだったのでそれなりに楽しかったです……」
最後の方は声が小さくなった。
「そうか。俺は寝る、なまえも早く寝ろ」
リヴァイさんはそう言えば食堂から出て行った。

……なんか怒ってた?なんで?
私は疑問に思いながらカップを洗って片付けて部屋に戻った。

さっきのリヴァイさんはなんだったのだろう。
私は首を傾げてベッドに入り、眠りについた。




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