理想と現実



私はコニー、ユミル、クリスタ達と同じ班だ。
立体機動を使いながら街を飛ぶ。
屋根の上に着地をして周りを見回せば巨人がたくさんいるのが見える。
「なんでこんなに巨人がいるんだよ。前衛は一体何をしてるんだ?」
私はコニーの言葉に改めて巨人達を見る。

……そうだった。エレン達の班はアルミンだけを残して全滅だった。…トーマスやミーナ、34班が危ないんだ!
「コニー、クリスタ、ユミルごめん!私ちょっと先に行く!」
私は立体機動で急いで34班を探しに飛んだ。
「なまえ!」
「おいっ!なまえ!単独行動は危ないって!」
クリスタとコニーの声が聞こえたが、私は今はそれどころではない。
エレンは助かるかもしれない。でもその他のみんなは?…私はイレギュラーかもしれないけどみんなのことは助けたい!ストーリーが少し変わるかもしれない。だけどみんなは訓練兵の仲間だ。
今まで一緒に頑張ってきたんだもん。

「あっ!アルミン!…っ!?」
アルミンを見つけた。
でもエレンは巨人の口の中。そしてエレンが食べられた。
「あああぁぁあぁぁああぁ!!」
アルミンの叫び声が聞こえた。
遅かった…。もうトーマスもミーナも…34班のみんなは巨人に食べられた後だ。
私はアルミンの傍へすぐには行けなかった。
近くの屋根に上に着地をしてアルミンを見つめて唇を噛んだ。

悔しかった。すごく。もっと早くにここに来ていれば助けられたかもしれない。
私は拳を握って深呼吸をしてからアルミンの傍へと降り立った。

「…アルミン!…大丈夫?何があったの?」
私は何も知らなかった、今、来たという風にアルミンに聞いてみた。
アルミンは答えない。ただただボーッとしている。
目の前でエレンが食べられたんだもん。
ショックに決まってる。
「アルミン!!!…アルミン!!」
私は大きな声でアルミンを呼ぶ。

「…はっ!なまえ?」
アルミンはまだ少しボーッとしているが私の顔をちゃんと見てくれた。
「良かった。無事だったんだよね?」
私は微笑んでアルミンをギュッと抱き締めた。
「ちょっ…なまえ?」
アルミンは驚いた声を出した。
「…大丈夫だよ。もっと早く助けに来れば良かった…本当にごめんっ」
私はアルミンを抱き締めたままそう言えばアルミンを離して立ち上がる。
アルミンは私の行動に少し戸惑っていた。

「おい!なまえここにいたのか!ってアルミン!」
コニー達がやってきてアルミンを見て驚いた顔をしてアルミンに近付いてアルミンの肩に手を置く。
「アルミン!なんでお前1人なんだ?他の奴はどうしたんだよ?……なんかお前の体ヌメッとしてるし…」
コニーは手を開いたり閉じたりしている。

アルミンは思い出したのか顔を青くさせて体を震わせた。
「うわぁぁぁぁぁ!この役立たず!死んじまえっ!」
アルミンを泣き叫びながら自分の手で頭をぐしゃぐしゃとする。
「おい!落ち着け、アルミン!みんなは…?」
「はっ…」
コニーの言葉でアルミンの体が止まった。

私はコニーの肩に手を置いて静止させ、コニーと目が合えば首を横に振る。
「もういいだろ、コニー。全滅したんだよ、こいつ以外…」
ユミルが言えばコニーは驚いた顔をしてユミルをジッと見る。
「うるせぇな!アルミンはまだ何もいってないだろ!」
「周りを見ればわかんだろ!これ以上そいつに構ってる時間はねぇんだ」
「じゃあなんでアルミンだけ無事なんだよ?」
「さぁな?…死体だと思ったんじゃねぇの?複数の巨人に遭遇したのは気の毒だと思うが劣等生のこいつだけ助かるなんてエレン達も報われないな」
私はユミルの言葉に驚きと怒りが湧いてユミル睨んだ。
「ん?なまえそんな怖い顔してどうした?私は間違ったこと言ったか?」
「なぁ、クソ女!二度と喋れないようにしてやろうか?」
私の代わりにコニーが言ってくれた気がした。

「やめて!2人とも!みんな気が動転してるんだよ!
急に友達がみんな死んでいくんだもん!仕方ないよっ!」
止めに入ったのはクリスタだ。ユミルの前で手広げて守ろうとしている。
「さすがっ、私のクリスタ!この作戦が終わったら私と結婚してくれっ!…あははははっ!」
ユミルは笑いながらクリスタに抱きついている。

「確かに…いつも以上にふざけてやがる」
コニーがそう言えばアルミンの前にしゃがむ。
「とりあえずこのままじゃいけねぇ。立てるか?アルミン」
コニーはアルミンの前に手を差し出す。
「はっ……くっ…ごめん、迷惑かけた……後衛と合流する」
アルミンはコニーの手を取らずに自分の力で立ち上がった。
「おい!アルミン!」
「アルミン、待って!!」
コニーの声と私の声が重なるがアルミンはそのまま行ってしまった。

「行くぞ!コニー、なまえ!俺達は前進の命令だ!」
仲間の声が聞こえた。私はアルミンが行ってしまった方向を見続けた。
「なまえ、行くぞ」
コニーに言われて私は頷いてみんなと立体機動で前進をし始めた。

アルミンと一緒にいた方が良かったのかもしれない。今のアルミンは心配だ。
私はこの後の展開を思い出しながら飛ぶ。
もうアニメを見てから3年も経っている。私の記憶は忘れ初めているのかもしれない。




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