超大型巨人の出現



その日私達は固定砲の点検や掃除をしていた。

「はぁ?調査兵団にするって?…コニーあれだけ憲兵団がいいって…」
エレンの声が響いた。
「あぁ…そうだって!」
コニーが固定砲を掃除しながら言う。

「エレンの昨日の演説が効いたみたいね?」
エレンの後ろからミーナがやってきて言う。
「うるせぇ!俺は自分で決めたんだよ!」
コニーが顔を赤らめて言う。
「そう照れるなよ!…お前だけじゃない」
トーマスまで顔を赤らめて頬を掻く。
「トーマス…まさか…」
エレンが驚いた顔をする。

「あの…皆さん。上官の食料庫から…お肉取ってきました!」
サシャが団服の中から見たこともないような豪華そうな肉を持ってきた。
みんなの顔が驚きと焦りといろんな顔になる。
「サシャ…」
私はサシャとお肉を見て呟いた。
「お前は独房にぶち込まれたいのか?」
エレンの声が響く。
「本当にバカなんだな…」
「バカってこえーっ…」

「あとで皆さんで分けましょう…。スライスして、パンに挟んで…へへへっ…へへへへへへっ…」
サシャの顔はもう食べる寸前の顔でよだれまで出そうな勢いだ。
「戻して来い!」「そうだよー!」
みんな口々にそう言った。

「土地が減ってから肉なんてすっごく貴重になったんだから」
「大丈夫ですよ!」
ミーナがそう言えばサシャが肉を隠しながら言う。
「土地を奪還すればまた牛や羊も飼えますから!」

「…俺もその肉食う!」
「俺も食うんだから取っとけよ!」
「当然私もだからね!」
みんなが口々に言いだした。
私はその光景に微笑みを浮かべた。
「私も絶対食べるから私の分も頂戴ね!」
「お前ら…」
エレンが私達を見ながら呟いた。

「なーに突っ立ってんだ、エレン!作業に戻らねぇとバレちまうぞ!」
トーマスが掃除を再開しながら言う。
「お昼はまだ先だよ!」
ミーナが言えばミーナも作業へ戻ろうと自分の作業場へと戻る。

私はエレンの肩を叩く。
「あと少し頑張ろう!」
「…あぁ」
エレンが私の方を向いて微笑んだ。
その時だった…。

ピカッという音と閃光、まるで雷が堕ちたかのような衝撃があった。



エレンと私の真後ろに超大型巨人がこちらを見ていた。
みんなも突然の出来事に驚いたまま固まっていた。

「ドォオォオオォンッ!」
そしてまたすごい音がした。
その瞬間突風のような強い風が吹きみんなが飛ばされる。

「なんだ!?」
エレンの声が聞こえたがすぐに聞こえなくなる。

さっきの音は壁が壊された音。
分かっていた…今日起こる出来事だって…。
私は急いで立体機動に移って、アンカーを壁へと引っ掛ける。

周りを見回せばみんなも私と同じように立体機動に移っていた。
「…壁が壊された」
「まただ…また巨人が入ってくる!」

私はジッと壊された壁を見つめた。
もっと私は何か出来たのかもしれない…。

「…固定砲整備4班!戦闘準備!…目標、目の前!超大型巨人。これはチャンスだ!絶対逃すなっ!」
エレンは立体機動で一気に上まで上がった。
「…エレン!!」
私もエレンと同じように立体機動を使い一気に上まで上がる。

「なまえー!」
ミーナの声が聞こえた気がした。

「よぅ…5年ぶりだな」
私が見たのはアニメで見たそのまま、エレンが超大型巨人と対峙していた。


エレンは斬りかかれる場所を探して走る。
私もエレンに付いて行き、走る。
大型巨人は片手をあげて固定砲を壊していく。

…わざと?もしかしたら固定砲を壊して巨人を中に入れようと?…この超大型巨人には知性があるのかな?…でも座学の時教官は知性はないって言っていた。…じゃあどうして?

エレンは立体機動で飛んだ。
私も同じように飛ぶがエレンとは逆方向へと飛んだ。
超大型巨人はエレンを掴もうと手を伸ばすが動きが遅いのかエレンは簡単に交わして超大型巨人の腕に乗り、走る。
そしてまた立体機動へと移る。

私もうなじを狙って飛ぶ。
うなじを狙おうとした瞬間エレンと目が合い、2人でうなじに向かって斬り込んだ。

その瞬間すごい熱気と突風が起きた。
体制を立て直して斬り込んだときにはもう超大型巨人は目の前から消えていた。

急いでアンカーを出して壁に突き刺す。

「エレン!大丈夫?」
「あぁ…」
私はエレンに声を掛けた。怪我はしてなさそうだ。
「エレン、なまえ!お前らが倒しちまったのか?」
上からこちらを覗いてトーマスが声を掛ける。
「…違う!5年前と同じだ。あいつは突然現れて、突然消えた!」
エレンは悔しそうな顔をしている。
私も唇を噛み締めてエレンより先に上へと上がった。

エレンもその後上に上がってきた。
「すまん…。逃した…」
「何、謝ってるんだ?俺達は全く動けなかった」
「おいっ!そんな話してる場合かっ!もう壁は壊されちまったんだ!早く塞がねぇとまた巨人達が入って来るぞ!」
コニーの声が響いた。
「そうだね…。とりあえずみんなと合流しなくちゃ…」
私がそう言えば上官がやってきた。
私達は急いで心臓を捧げる敬礼をする。

「何をしている?超大型巨人の出現時の作戦は既に開始している!すぐに本部に戻れ!ヤツと接触した者は報告を忘れるな!」
「はっ!」
エレンと私が言う。
「前衛班の健闘を祈ります!」
コニーが言えば、上官はその場から急いで立ち去った。


私達も急いで本部へと向かう。
鐘が鳴り響く。
住民達は走って我先にと避難している。
これじゃパニックになるのも時間の問題だ。
いや、もうパニック状態に近い。

そしてまた巨人が街へと入って来る。
あの5年前と同じように…。




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