解散式の夜



そして次の日解散式が行われた。
訓練兵212人、全員の卒業が決まった。

最初に上位10名が発表される。
名前が呼ばれて嬉しそうな顔をする人や緊張する人もいてみんな様々な表情だなって思った。

「心臓を捧げよっ!」
「はっ!」
いつものように左胸に手を当てて敬礼をする。

「本日をもって訓練兵を卒業する諸君らには3つの選択肢がある。
壁の強化に努め、各街を守る駐屯兵団。
犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む調査兵団。
そして、王の元で民を統制、秩序を守る憲兵団。
無論、憲兵団を希望出来るのは先程発表した成績上位10名だけだ!」

私は後ろからみんなの背中を見つめた。

首席 ミカサ・アッカーマン
何をしてもみんなをずば抜けていてミカサがいたら怖いものもなくなりそうな気がする。

2位 ライナー・ブラウン
リーダーシップがあって私の兄のような存在。いつもみんなをまとめてくれてる。

3位 ベルトルト・フーバー
身長が高くていつも優しい。周りのことをよく見てるなぁっていつも思っちゃう。

4位 アニ・レオンハート
一匹狼なのかなってずっと思ってたけど格闘術教えて貰った時すごく分かりやすかった。

5位 エレン・イェーガー
巨人を駆逐することに強い気持ちを持ってる。誰よりも目的意識高いって思う。

6位 ジャン・キルシュタイン
立体機動がすごく上手。すぐカッとなるけど意外に仲間思いの奴。

7位 マルコ・ポッド
優しくてアルミンみたいに頭が良い。マルコを頼りにしてる人結構いる。

8位 サシャ・ブラウス
みんなに芋女って思われてるけど勘とかすごい当たる。集中力は一番あると思う。

9位 コニー・スプリンガー
話してて面白いし、立体機動でも小回りがとても上手。

10位 クリスタ・レンズ
優しくて友達思い。笑顔は100点満点でみんなのアイドルのような存在。

私はこの10人が上位ってすごく納得する。


そして解散式をした夜、みんな盛り上がっていた。

「やったー!これで俺も憲兵団だ!」
「もうこれで食べ物に困りませんね!」
あちらこちらからいろんな声が聞こえてくる。

「憲兵団に入らないってのは本気なのか?エレン!」
私はエレンとミカサとアルミンと一緒にいるといろんな人が集まってきた。
「せっかく上位10人に入ったのに…」
「最初から決めていたことだ。俺が訓練兵になったのは内地で暮らすためじゃない。巨人と戦うためなんだ」
エレンの言葉を私を含めてミカサもアルミンも静かに聞いていた。

「勝てるわけない!!」
大きな声で言った言葉は周りの仲間にも聞こえたのかこちらへと視線が集中する。
「お前だって知ってるよな?今まで何万人が食われたか。…人口の2割以上失って答えは出たんだ!…人類は巨人に…勝てない」
彼の言葉に周りも聞き耳を立てているのか静かだ。

「…それで?」
「…えっ?」
エレンの言葉で周りがエレンへと視線を移す。
「勝てないと思うから諦めるのか?確かにここまで人類は敗北してきた。それは巨人に対して無知だったからだ。巨人に対して物量戦は意味がない。負けはしたが戦いで得た情報は確実に次の希望に繋がる。
俺たちは何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して大人しく巨人の餌になるのか?…冗談だろ?
俺は巨人を1匹残らず駆逐して狭い壁の中から出る!それが俺の夢だ。人類はまだ本当に敗北した訳じゃない!」
エレンは泣き出しそうな顔をしてその場から走って外へと行ってしまう。

「エレン!…待ってよ!」
アルミンとミカサ、私はエレンを追い掛けて外へと出た。

階段の所に座っているエレンの所へ行き3人ですわる。
「エレン、さっきの夢の話って…」
最初に声を掛けたのはアルミンだ。
「あぁ…。お前の受け売りだ。壁の内側じゃなくて外へ…」
私はアルミンへと視線を移すとアルミンは決意したような顔をしていた。
「僕は調査兵団に入る!」
その言葉にエレンが驚いた顔をした。
「アルミン、本気か?お前は座学はトップなんだからそれを活かせよ!」
「…死んでも足手まといにはならない…」
アルミンは本気だ。本気で調査兵団に入ろうとしているのだ。

「私も調査兵団にする」
ミカサの言葉にまたエレンが驚いた顔をする。
「おい!お前は首席だろ?憲兵団にしろよっ!」
「貴方が憲兵団に行くのなら私も憲兵団に行こう。貴方が駐屯兵団に行くなら私もそうしよう。…エレンは私と一緒にいないと早死にするから…」
「頼んでねぇだろ、そんなこと…」
「もうこれ以上、家族を失いたくない…」
ミカサの言葉にエレンは驚いた顔をしてそれ以上何も言わなかった。
「なまえも調査兵団に入るんだよね?」
アルミンが私に聞く。
「…入るよ。私も最初から調査兵団に入ることは決めてたから」

4人で空を見上げた。
この日の空は星がとても綺麗だった。




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