卒業模擬戦闘試験A



そして休憩もそこそこで模擬戦闘試験が始まる。

「遅れを取るなよ!確実に仕留めろ!分かったな、お前ら!」
ジャンが私達に振り向いて言う。
「ジャンが遅れなければいいけどな…」
エレンが言った言葉にジャンはムッとした顔をする。
「お前だけには言われたくねぇよ!この死に急ぎ野郎になっ!」
ジャンはエレンを睨んで言う。
「2人とも落ち着いてくれよ」
そんな2人をいつも止めるのはマルコの役目。
私とユミルはそんな3人を見ながら苦笑いをした。


そして模擬戦闘がスタートした。


私達5人は雨の中、森を立体機動で飛ぶ。
「おい、遅れるんじゃねえよ!」
「ジャン!そんなにガス蒸したらなくなるよ?」
私が声を掛ければジャンがこちらを向く。
「大丈夫だ!ちゃんと考えている」
本当に考えているのだろうか。
ちょっと心配だな。

「くっそ…霧が出始めやがった…。油断したら木にぶつかりそうだな…」
「おい、ジャン!調子悪そうだな?俺が先に殺るぜ!」
そう言えばエレンは模擬巨人のうなじを斬る。
「エレン!それは俺が狙ってたんだぞ!」
「そんなの早い者勝ちだろ?それなら俺より早く仕留めろよ!」
エレンは笑いながら言っている。
「くそっ!この視界で突っ込みやがって…。この場では死に急ぎ野郎が有利ってわけか。あいつより先に見つけねぇと!」
またジャンはスピードを上げる。

「ジャン大丈夫かな?エレンに必死だけど…」
私は2人を見ながら少し溜め息をする。
「マルコ?…どうしたの?」
木の所にいるマルコに声を掛け、隣に立つ。
「霧の中じゃ危ないと思って…」
「確かにこの霧じゃちょっと見づらいよね…」
「なまえ、マルコ。どうした?」
ユミルが隣に来る。

「この霧の中で動くのは得策じゃない気がしてね…」
マルコが苦笑いをして言う。
「まぁマルコの言うのも一理あるかもしれないけどね…」
ユミルはそう言えば「先に行く」と言って立体機動で飛んで行った。

「マルコ!なまえ!お前ら何してんだよっ!」
ユミルと変わるようにジャンがやってくる。
「ジャンこそ、前にいたんじゃ?」
私が不思議そうに聞くとジャンは溜め息をする。
「いや、ユミルに巨人がいたって聞いてそっちに行ったら何もなかった。あの野郎、何考えやがるんだ…」
「それは災難だったね。もしかしたら木が巨人に見えたのかもしれないじゃん?」
私はジャンに落ち着かせるように言う。
「まぁ…そう思っておくよ。で、2人は何してんだよ?」
「この霧で動くのは得策じゃない気がするんだ。もし実践だったら確実に巨人に食べられるじゃないか?だから天候の回復を待ってたんだよ」
マルコの言葉にジャンの表情が変わる。
「訓練だろうと実践だろうと土壇場で弱腰になる奴とは俺は一緒に組みたくない。慎重なのはいいかもしれないが俺はそんな奴に命預けたくねぇな」
私はジャンの言葉に驚いてジャンを見る。
そんな風にみんなのことを考えていたジャンにすごく驚いてしまった。

「おい、マルコ!俺は間違ったこと言ってるか?」
「いや、ジャンの言ってることは正しいよ。慎重と臆病は違うよね?僕達は兵士だ…。死を恐れていては兵士にはなれない。すまなかった、ジャン」
マルコは申し訳なさそうに言えばジャンが笑う。
「俺が後々困るからな!憲兵団でこき使ってやるって言っただろ!」
「そうだったね!」
男の友情を見て私は微笑ましくなった。
そんな友情がとても羨ましくも感じてしまった。

「よし、マルコ。ここから挽回だ!なまえ、お前も一緒にやるぞ!」
「私はあっち行ってみるよ!2人共頑張って!」
私は微笑んで言えば2人と違う方向へと立体機動で飛んだ。

立体機動で飛んでいると巨人を見つける。
「よし!」
私は真っ直ぐ巨人の方へ飛び、後ろへすぐに回り込んでうなじを斬る。
「…深く斬れた!」
私は小さくガッツポーズをして次の巨人を探すために体制を立て直す。

「なまえ!」
後ろから声が聞こえて振り返ればミカサがいた。
「ミカサ!何体倒したの?」
私はミカサに合わせて立体機動を飛ぶがミカサはやっぱり速い。
「…7体。…エレンはどこにいるか知ってる?」
「もうそんなに?エレンは多分私より随分前にいると思うよ?」
「ありがとう…」
そう言えばミカサはスピードを上げて行ってしまう。
ミカサって本当にすごいな…。エレンに対しての気持ちもすごいけど立体機動もずば抜けてる。


しばらく立体機動で飛び、たまに巨人を見つけて討伐するというのを繰り返していたら前に同じ班が集まっていることに気が付いて止まる。
「なまえ!探したんだぜ?」
「えっ?私?…あっエレン、ミカサに会えた?」
「ミカサ?…あぁ会ったぞ」
「そっか。良かった、それで何で私?」
「みんなで協力して討伐しないかって話していたんだよ!」
マルコが答えてくれた。
「あぁ!そういうこと。せっかく班で編成してあるんだもんね!」
「4、5人で編成されてるのは連携的に効率がいいからだと思うよ。討伐を稼ぐなら協力した方がいいと思うんだ」
マルコの言葉に私は頷く。
「でも組むことで俺に得はあるのか?」
エレンが不思議そうに聞く。
「討伐補佐も評価に入るよ。みんなどうかな?」
マルコの提案にみんなが頷いた。

「ちっ仕方ねぇな。マルコが言う案ならやるよ」
ジャンが言う。
「じゃ俺とユミルとなまえが補佐に回る。ジャンとエレンはガスが残り少ないだろうから2人で仕留めてよ」
マルコは本当に頭が回る。マルコが同じ班で本当に良かったと思った。

そして残り少なくなった時間で私達の班は協力して巨人の討伐をしていった。



「ヒヨっこ共!よく戻ってこれたな!この試験で兵士が嫌になった者は、遠慮なくここを去るがいい!だが、それでも目指さんとする者については、本日の結果を踏まえた上で、最終的な成績をつける!結果は、追って通達する!以上だ!解散!」
「ハッ!」

そして卒業模擬戦闘試験が幕を閉じた。

結局班の1位はミカサ達の班だった。
私達の班もだいぶ追い上げたがミカサ達の班まで到達はしなかった。

でもみんなで協力して討伐したことは評価的にはすごい高いと思う。

あとは結果だけ。10番以内なんて入らなくていい。私はリヴァイさん達がいる調査兵団に入る。

卒業まであと少し…。




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