卒業模擬戦闘試験@



そして私がこの世界に来て3年が経った。

まだ元の世界には戻れていない。
もう私はこっちの生活に慣れ始めていた。

卒業試験前日の日。
「卒業試験では4、5人構成の班で実施する!それでは班を発表する!」
キース教官は班を発表し始める。
私は緊張しながらキース教官の話を聞いていた。


今日から始まる、卒業試験。
それなのに雨が朝から降り続ける。
きっと教官達は雨の日を狙って卒業試験をやるんだろう。
そしてこの試験に合格しなければ兵士には入れない。

「ついにこの日が来たな…」
エレンはグッと拳を握り締めて気合十分だ。
「緊張する…」
私が一言呟けば隣にいるアルミンが微笑む。
「大丈夫だよ。なまえはあれだけ訓練して頑張っていたもん。自身持ちなよ!」
「そうだよ。私もなまえが部屋で腹筋とかしてたの見てる。だから大丈夫!」
ミカサも私の緊張を解くように言ってくれる。
「うん…。ありがとう」

「事前に通達していた通り、本日行うのは訓練ではない!お前らヒヨっこどもを選別する為の卒業模擬戦闘試験である!まず山の頂上まで荷物を持って行って貰う、続けて模擬戦闘を行ってもらう!ここで問われるのは、お前らの兵士としての資質全てだ!もし不合格となった者には、開拓地へと行ってもらう!各班構成は、昨日説明した通りだ!開拓地が嫌なら、死力を振り絞って試験に臨め!分かったか!」
「はっ!」
キース教官の声でみんなで敬礼のポーズをする。


「はぁ…これ重いんだよね」
目の前に置いてある荷物を見て溜め息しか出ない。
「エレン、足引っ張るんじゃねぇよ!」
「引っ張るわけないだろ!ジャン、お前が足を引っ張るなよ!」
後ろを振り向けばエレンとジャンがまた言い争いを始めている。
どうしてエレンとジャンが同じ班なんだろう。キース教官は何を考えて2人を同じ班にしたんだろう。
「なまえ、よろしくね!」
マルコが微笑んで肩を叩いた。
「うん、こちらこそ。迷惑かけないように頑張ります」
「エレンとジャンが一緒って不安だが、マルコとなまえがいるなら大丈夫だな」
ユミルが私の隣で言う。
「お前なぁ…どういう意味で言ってるんだよ」
「2人はいつもじゃれ合い始めるからな」
「なっ…気持ち悪いこと言うなよ!」
ジャンとユミルの会話に私は笑った。

「なぁなまえ、クリスタがどこの班か知ってるか?」
「クリスタなら確かミカサ達と一緒だったよ」
私はミカサに班のことを聞いたときにクリスタの名前があったことを思い出す。
「そうか…。ミカサ達の班なら安心だな」
「一番強敵そうだよ。ミカサとアニ、サシャ…みんな本当に身体能力がある」
マルコが言う。
「確かに…身体能力ありそうなメンバーだね」
私は苦笑いをする。
「俺らの班は負けねぇぞ!行くぞ!」
エレンの声で荷物を背負う。
「絶対お前には負けねぇからな!」
「ジャン、同じ班なんだから仲間意識を持ってくれよ」
マルコが困った顔をして言う。
そして私達の班は雨の中、山の頂上を目指して走り始めた。


雨は次第に強くなってくる。道は更に歩きづらくなり靴が重くなる。
「雨、酷くなってきたね」
私はみんなの真ん中を走りながら言う。
「そうだな…。絶対雨の日を狙ったんだろうね」
マルコが私の後ろを走って言う。
「泥が鬱陶しいな…。ちっ、何とかなんねぇのかよ」
「ジャン、立体機動にしたらどうだ?」
「はぁ?立体機動は禁止されてるだろうが」
また2人の言い争いが始まる。
「本当に仲が良いんだな」
一番後ろを走るユミルが呟いた。
その呟きは2人には聞こえない。
「まぁまぁ、ジャンとエレン落ち着いて!班で協力しないと一番にはなれないよ?」
マルコが私を少し追い越して2人を宥める。
「ちっ…まぁそうだな」
「あぁ、悪かった」
2人は反省したのかまた走り出す。

荷物はやっぱり重い。でも前より辛くはない。前よりは体力がついてきたということだろうか。

「なまえ、大丈夫か?」
ユミルが声を掛けてくれた。
「うん、大丈夫!まだまだいけるよ」
私は微笑んで言えばユミルも頷いてくれた。

「このままだとまずいな。遅れかけている…みんな急ぐぞ!」
先頭のエレンの声が聞こえる。
「でもこの後に模擬戦闘を控えてる…」
マルコが呟く。
「おい、この死に急ぎ野郎!もうちょっと考えろ!この後に模擬戦闘を控えてるんだぞ?フラフラな状態で巨人に挑む気か?」
ジャンの声が響く。
「確かにそれは…困るな」
「ペース配分考えろ。ただでさえ雨で道が走りづらいんだからな!」
ジャンの声でみんなが頷いた。

それから何とかゴールまでたどり着いた。
「俺達1番じゃないか?」
ジャンが辺りを見回してキョロキョロして言う。
「残念でした!私達が1番です」
サシャがニヤリと笑って私達の前にやってきた。
「くそー!やっぱりミカサの班かよ」
エレンが悔しそうに声をあげる。

「なぁトップを取るにはミカサを越えなきゃいけねぇんだよな…」
「大した差はないと思うよ…」
ジャンとマルコが喋っている。
「なぁ…なまえどうしたらミカサに勝てると思う?」
突然私に聞かれて驚いてジャンを見上げる。
「…そうだね。ミカサといることが多いけど私には分からない。ジャン、ごめん」
「そうだよなっ。悪い…」

それから雨は一向に止む気配はしない。このまま模擬戦闘をやるのだろうか。
まぁあのキース教官ならやりかねないだろう。
この雨だと視界が悪い。…壁外調査に出れば雨なんて関係ないんだろうから仕方ない。

それからアルミン達の班がゴールした。
アルミンの班はライナー、ベルトルト、コニーだ。
「アルミン、大丈夫か?」
ライナーが声を掛けている。
「だ、大丈夫だよ」
アルミンは結構疲れが溜まっている様子だ。このまま模擬戦闘は大丈夫だろうか。

それからゴールした班から模擬戦闘の準備へと入った。




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