雨の訓練



それから訓練に励む日々になった。
もう周りにいる人達の名前は全て覚えた。
これでも名前と顔は覚えるのは早い。

今日は朝から雨が降っているのに荷物を持って森の中を走るらしい。
そういえば私もリヴァイさんに訓練してた頃重い物を持たされて走らされたな。
そんなことを思い出した。壁外調査は終わったのかな?何日あるとか聞いてなかったからリヴァイさんがいつ帰って来るのかは知らない。
みんな無事に帰って来るといいな。

「なまえ、外行くって」
ミカサに肩を叩かれてハッと我に返ってミカサを見て微笑む。
「あっ分かった。今行くー!」
私はミカサの後ろをついていき、エレンとアルミンと一緒に外に出た。

「これからこれを1人ずつ持って森の中腹まで行って貰う。卒業試験では頂上まで行って貰うからな。よし、準備しろ!」
キース教官から言われてみんな1人ずつ荷物を持った。
「重い…これ運ぶのかな?」
アルミンが重たそうに持てば私も苦笑いをした。
「そうみたいだね…。これは重いね…」
リヴァイさん達と訓練した時より重い気がする。しかもあの時私もかなりダウンしてオルオさんやエルドさんに手伝って貰ってた。

今回は中腹までだけど卒業試験の時は頂上まで登らなくてはならない。中腹でも結構体力が必要になるだろう。卒業試験までには頂上まで登れるくらいの体力をつけなくてはいけない。
ここで倒れてるようじゃ脱落組になってしまう。頑張らなくちゃ…。

そしてみんな荷物を持って一斉にスタートした。

私は真ん中辺りを走る。雨で走るのが余計に辛い。遅れないように必死に走るけどやっぱり少しずつ遅れてくる。

「なまえ大丈夫?」
クリスタが私の隣を走って心配そうな顔をする。
「あーうん。大丈夫だよ」
クリスタって細いし小さいのに体力がある。本当に尊敬してしまう。
「なまえ、頑張りましょう!頑張ったらごはんも美味しくなります!」
サシャはごはんがあるから頑張れるんじゃないかなって思ってしまう。
私は苦笑いをして「そうだね」と呟いた。
私は真ん中辺りから遅れて後ろの方を走る。
後ろにはアルミンが辛そうに走っていた。

「アルミン大丈夫?」
「…大丈夫」
声も疲れ切っていることがよく分かる。
私も結構疲れた。
卒業までに頂上に登れるかも心配になる。
「おい、頑張れ!」
後ろにいたのはライナーだった。
「あれ?ライナー前にいるんじゃなかったの?」
私は息を切らしながらもライナーに問う。
「いや、前にいたが後ろの様子が気になってな」

やっぱりライナーはリーダーだなって思う。みんなの心配をしてくれるのはなんだかんだでいつもライナーだった。

「あと少しだ。アルミン、なまえ頑張れ」
私とアルミンはライナーの言葉に頷いてあと少しであろう山の中腹まで登った。


それから何とか登り終えて私はその場に膝から崩れて座り込んだ。
「なまえ、大丈夫?」
クリスタは驚いた顔をして私に駆け寄ってきた。
私は息が続かず手を挙げて大丈夫だとアピールした。
「全く体力がないんだよ」
クリスタの隣にいるであろうユミルの声が聞こえる。
私はユミルの言葉にその通りだと頷いた。

だいぶ呼吸も楽になり荷物に入っていた水を飲む。本当に疲れた。思ったより全然体力がないと実感してしまった。
リヴァイさんに言われた通り毎日腹筋や腕立て伏せはやっている。
それでもまだ足りないのだろう。
夜走ったらいいのかな…。そんなことを考えながら溜め息をした。

「なまえ、お疲れ!」
隣にやってきたのはエレンとミカサとアルミン。
「あっお疲れ!エレンとミカサはすごいね。ほとんど前を走ってたんでしょ?」
「ジャンの奴が俺の前をずっと走ろうとするから腹立って抜かしてやったらまた抜かされてそれ繰り返してる内に中腹まで来ちゃったよ」
エレンがジャンをチラリと見てから答えた。

2人は仲が良いのか悪いのかよく分からない。でもジャンはエレンにミカサを取られて確かイライラしてるんじゃなかったかな?ふとそんなことを思い出した。

「エレン、大変だったね。お疲れ!」
私は苦笑いをして言った。
「エレンはすぐに熱くなる…」
ミカサは溜め息をして言った。
「ジャンの奴が挑発してくるんだよ!俺は別に何もしてないのに!」
エレンが少しイライラしているのが分かる。

「まぁまぁ。ジャンもエレンをライバルとして見てるってことじゃない?ね、アルミン?」
私は微笑んでアルミンへと話を振った。
「えっ、あぁ…。そうだね」
アルミンはきっと突然話を振ったから驚いたのだろう。焦っているのがよく分かった。

そして休憩した後下山をした。


冷たい雨のせいで体はとても冷えた。宿舎に着いてから急いでシャワーを浴びて体を温めた。

その日雨は止まずに明け方まで降り続いた。




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