笑顔の彼女



俺はエルヴィンに呼ばれて部屋までやってきた。
「エルヴィン、入るぞ」
ノックをして返事を待たずにドアを開ける。
「リヴァイ、待っていたぞ。どうだなまえの様子は?」
エルヴィンは書類に目を通しながら俺の顔を見た。
「あぁ。体力が全くない。立体機動すら重たいっていいやがる。…まぁ最近になってやっといろいろ身に付いてきたみたいだがな」
俺は近くにあったソファーへと腰を下ろす。
「そうか。リヴァイがそう言うなら彼女は大丈夫なんだろうな」
エルヴィンが笑みを浮かべて言った。
「さぁな。訓練兵がどれだけ進んでるかは分からねぇが立体機動はそれなりに出来るようになったし、あとは体力がどれだけつくかだな」
「なまえなら大丈夫だろう。…もう1ヶ月になる。そろそろ訓練兵達と合流させようと思うのだが…」
エルヴィンが書類を置いて俺の顔を見た。
「…いいんじゃねぇか?エルヴィンが1ヶ月って言ったんだ。あいつはそれなりに頑張っている」
「そうか。それじゃ合流させるように詳しく話しておくよ。…それから壁外調査だが先週話した通り来週に行くことになる。他の奴らには伝えてある」
「あぁ、分かった」
俺は返事をしてエルヴィンの部屋から出た。

なまえは最初は本当に体力がなくてこんな奴が調査兵団をやれるのか心配になった。
巨人に即食われて終わりなんじゃないかって。でも中々根性がある奴だと思った。
弱音を吐かないって言ってたがすぐ弱音でも俺に言うかと思えば全然言わない。
逆に心配になる。でも、なまえは頑張っている。きっと訓練兵と合流してもやっていけるだろう。

「あっ、リヴァイさん!どこ行ってたんですか?」
なまえがニコニコしながらやってきた。
「エルヴィンの所に行っていた」
「そうなんですか?聞いて下さいよ!オルオさんとグンタさんがパンの取り合いしてたんですよ。それがすごく面白くて…」
こいつがいるだけで周りが笑顔になる。ペトラたちと楽しそうに話しているのを見るとよく分かる。
なまえが訓練兵と合流したら俺の周りでこの笑顔がなくなるのだろうか。
「…ってリヴァイさん聞いてますか?」
俺が聞いていないと気付いたのか首を傾げて俺の顔を見上げる。こいつは俺より本当小さい。
「あぁ聞いていた。それよりなまえ、そろそろ訓練兵と合流する。もう少し体力つけろよ!」
俺のことを見上げるなまえの頭をポンッと叩いてからそのまま自室へと向かった。

俺の部屋の前に立っている女がいる。
「はぁ、クソメガネ何してる」
「おっリヴァイ!部屋にいないから待っていたんだよ!」
こいつ俺の部屋にまた勝手に入りやがったな。
「……なんだ?」
俺はハンジを睨みながら自室のドアを開けて入る。ハンジも続けて入ってくる。

「なまえちゃん訓練兵に入るんだって?エルヴィンが言ってたからね。リヴァイが寂しいんじゃないかって思ってさ」
ハンジはニヤニヤ笑いながら言う。
俺は溜め息をしてソファーに座った。
「ハンジ、お前はそれを言いに来たのか?」
「えっ?あぁそれもだけど今度の壁外調査の資料をエルヴィンに渡されてね。さっき渡すのを忘れたんだってさ。…多分壁外調査の日になまえちゃん訓練兵と合流になるよ」
ハンジが資料を俺に渡す。
「…そうか。壁外調査の日か」
俺は窓の外へと目を移した。夕焼け空が見える。
「リヴァイ寂しいんだろ?私が慰めてやろうか?」
ハンジの手が俺の肩に置かれる。
「…うるせぇ!クソメガネなんかに慰められたくねぇよ」
俺はハンジの手を払いのけた。
「リヴァイは素直じゃないな。それじゃ私は巨人の研究の続きでもしようかな」
そう言いながらハンジは俺の部屋から出て行った。

何となく分かっていた。なまえが壁外調査へ行く日に訓練兵と合流することくらい。
俺はまた夕焼け空へと目を向けた。




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