初日訓練〜お昼休憩〜



何とか午前中の訓練をやり終えたが、体は既に悲鳴をあげていた。
「なまえちゃん大丈夫?」
ペトラさんが心配そうに水筒とタオルを持ってきてくれた。
「だ、大丈夫じゃないです…」
私はその場に座り込んだ。
「とりあえず水飲んで?脱水症状起こしちゃったら大変だから」
ペトラさんが水筒を差し出した。
「す、すみません」
水筒を受け取り水を飲んだ。喉に通る冷たさに少し吐き気がおさまった。
「顔色あまり良くないね?なまえちゃん運動とか苦手?」
「あー…あまり得意とは言えないです」
「なまえ、このままだと調査兵団どころか訓練兵にすら合流できない。もっと体力つけろ」
リヴァイさんはまた私を上から見下ろして言えばそのまま建物の中に行ってしまった。

鬼だ、鬼。もうリヴァイさんが人間には見えない。そしてこの訓練についていけるペトラさんたちすら同じ人間なのか疑問になった。
それが漫画と現実の違いなのだと思った。

「兵長はあんな風に言ってるけどみんな最初はなまえちゃんみたいな感じだから大丈夫だよ」
ペトラさんが励ますように言ってくれたけど私より酷い人はきっといないだろう。
「さぁお昼ごはんにしよう!ごはんも食べなきゃ倒れちゃうからね!」
私はペトラさんに立たされて腕を引っ張られそのまま建物に入った。

食堂に入った瞬間、食べ物の匂いで気持ち悪くなった。
これが悪阻と言うものか?と思う程気持ち悪くなってしまった。
「なまえ、食わなきゃ体力も付かないぞ!」
後ろから現れたエルドさんに背中を叩かれた。
「…痛っ。エルドさん痛いですよ!」
「すまん、すまん。まぁ座って食べるぞ!」
私は無理矢理椅子に座らされて目の前にお昼ごはんが置かれた。
目にした瞬間また更に吐き気がした。
絶対に食べれない。今食べてもどうせ昼からの訓練で吐いて、リヴァイさんに『汚ねぇ』って怒られるのがオチだ。
しばらく目の前に置かれたごはんを見ていたが気持ち悪くなる一方だった。
「すみません、やっぱり食べられません。…失礼します!」
椅子から立ち上がり食堂からすぐに出て庭に出た。

新鮮な空気を吸ったら少しは楽になった。
予想はしていたけどやっぱり訓練はハードだった。まさか食べ物は食べられなくなるとは思ってなかった。
木の陰に座り込んで溜め息をした。
「なまえ、ちゃんと食ったのか?」
突然声が聞こえて振り返った。
「リヴァイさん…。気持ち悪くて食べられなかったです」
「…だろうな。そんなことだろうと思っていた。でもちゃんと食わねぇと倒れる。倒れたら俺が困る」
リヴァイさんは溜め息をして言えば、私の隣に腰を下ろした。
「…体力は必要だ。体力がなきゃ立体機動すら乗れない。少しずつでもいいから毎日部屋で腹筋、腕立てはしろ。無理に多くやれとは言わない。わかったか?」
リヴァイさんの言葉にチラリと目を合わせれば怒ったような目ではなく少し穏やかな目をしていた。
「はい、分かりました」
そう呟けばポンッと頭に手を置かれてクシャリと撫でられた。
そのままリヴァイさんはその場から立ち去った。

私はリヴァイさんのその行動に少しドキッとした。撫でられた頭に自分の手を置いてみた。
「リヴァイさんってこんなことするんだ」
独り言のように呟けば遠くから声が聞こえた。

「いたいたー!なまえちゃん!訓練始めるって兵長が言ってたよ」
ペトラさんの声に「はい!」と返事をして立ち上がった。
少しだけ元気が出た気がする。いっぱいいっぱいだった私の心は少しだけ楽になった。




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