小説 | ナノ

▼ ±0
※性描写注意
気持ち悪い
ほぼR18
ひたすら暗い病みサスケ





人の行動は生きる為では全ての説明はつかないらしい。
生と同時に死へも向かう。
創造と破壊。愛と憎しみ。自愛と自虐。

性行為は死への行動の典型なのだと、流石この世の全ての英知を手にすると豪語するだけあって半端ない量を揃えたオロチ丸の書物からそんないらない知識を拾う。

普通であれば死と同時に生を意味する筈のそれは女が介在しなければただの身の破壊だ。
オレの場合は。


「ぁ・・っんあ・・っ」

石壁は音をよく弾く。
土から漏れ出す匂いが冷気に混ざり、肌をツンと刺した。

「君麻呂もいい子だったわ。でもサスケ君は特別。今までの誰よりも一番美しくて魅力的よ」

綺麗だの美しいだのと言われる事に吐き気がして耳を塞ぐ。
体中から噴出す汗が体に巻き付くオロチ丸の舌の唾液と混ざり、もう体に付く液体が何なのか、顔に流れているのは涙なのか、自分がどんな格好をしているのかすら、よく分からない。

喉の奥から妙な声ばかり出て声が枯れた。
下腹部に感じる猛烈な圧迫感に体を裂かれて死にそうになる。
自分の口から飛び出た甲高い声に驚いて目を見開く。
拡張する感じから多分これも舌だ。


痛い。
気持ちが悪い。
こんな奴に、オレが。
体が壊れる。

でもそれでもいいと思った。




ゆらゆら揺らめく白い肢体に汗が流れ、小さな燭台の灯がそれを照らす。
滑らせるだけでその感触を楽しめる肌と、目の前の鮮美な光景にオロチ丸はにやりと口角を吊り上げた。
折れてしまいそうな未発達な細い体に、雪の如く白い不健康な肌は、視界に入るだけで見ている者に生唾を飲ませる。

「いっ・・いぃ・・っアッ」

刺激する度に漏れる引きつった声も、涙で汚れる顔も、必死で耐えるようにシーツを掴む指先も、かぶりを振って揺れる黒髪も全てが煽動的で、天の賜物であると同時に罪にさえ感じた。

何故か急に体を許してくれたサスケを見ながら、このまま危うい不安定さを抱える精神は自分が中に入る事なく成長すればどこへ向かうのかと思う。
見られないのが惜しいが先に別の意味でサスケの体の中に入る事ができたから良いかと、オロチ丸は室内に響く淫靡な音に恍惚と聞き入りながら目の前の余興を楽しんだ。




兄貴を殺す事が目的の筈なのに、時々何もかもどうでもよくなる。

こんな体に何の価値があるんだ。

オロチ丸と訪れる屋敷で男に迫られる事が増えて、その度に思った。

泊まる日になると人が寝ている間に忍び寄って、昼間同席していた男が訳の分からない言葉を囁く。

男が好みの奴が世の中にこんなにもいるのか、それともオレの性別も判断できていないのかと思っていたが、当然の事かオロチ丸はそいつら以上にそっち寄りだったらしい。

求める奴の気持ちは小指の先ほども分からないけれど、拒否するだけの気力を湧かすも面倒で拒絶も同意もしないままでいると、いつの間にかオロチ丸の好きに体を開かされていた。

そんな気分の時に放っておいたらその辺の輩にオレはやられていたかもしれない。
だからと言ってオロチ丸で良かったと言う訳でもないけれど、それで自分の中の何かを壊してくれるならいいと思った。


ナルトやサクラがどうしているだろうかとか、木の葉で得られた筈の幸福だとかそんな事にまだ縛られている気がして、捨てきれない感情や弱い自分を全て壊して欲しかった。
こんな自分を想像できただろうか。
ウスラトンカチ達はあの呑気さできっと想像だにしない。
ここまで堕ちればもはや興味も持ってくれないか。
その為なのか、これ以上もっと引き返せない道に堕ちたいのか。
生まれ変わる為に一度死にたいのか、分からないけれどとにかくこうする事で何かが変わって、いらない物を壊して貰える気がした。

壊したい。壊れたい。
内へも外へも破壊衝動が止まらない。



自分の中に他人が居て、他人の中にも自分がいる。
そう言っている本があった。
あれは哲学書だろうか。
少し納得できた。

理解でき、制御できる物が自分ではなくて、全てが混ざり合っているなら、他者への攻撃に自虐が含まれる訳だ。

それでもオロチ丸はオレにとって完全に他人で、他人にされるからこそこの自傷行為には意味があった。
自分一人でするには限界があるから手伝ってもらい、それによって被害者になれる。


サクラは、ナルトは、誰か師匠がついただろうか。
カカシは誰の面倒見てんのかな。

オロチ丸は・・師匠じゃない。
利用しているだけだ。
他者で、こんな奴の思想には吐き気がする。
こんな奴だけにはならない。
だからこそオレを傷つけ、癒す事ができた。


死にたくない。
生きたいだけだ。
生きすぎると死にたくなる。
前進と後退。
プラスマイナスを吊り合わせる事に意味なんてあるんだろうか。










「んあっ・・ア・・ァッ」

いい加減しつこいオロチ丸に体が疲れてきた。
倦怠感を纏った体が上手く動かない。
自分の声に脳髄が壊れる。
朦朧とする意識が手放されるかどうかの境を彷徨う。
濡れたシーツが気持ち悪かった。



オロチ丸を、こいつをもし倒す事ができたら、褒美に仲間を集めよう。

水月・・あいつは強そうだったし、特に役立つ能力でもなかったけれど、面白そうだ。
きっと付いて来てくれる。
後は・・。


少しだけ、安らぎの時間が欲しい。

一緒に潰されそうな、消したくない感情を必死で守りながら、薄れていく意識の中でぼんやりと思った。















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