▼ 13になったら
※サスナル寄り
甘々エロ
あまあくて、優しい笑顔に見えた。それはほんの一瞬、キスの余韻のせいで頭がイッてたのかもしれない。
でもサスケは確かに口が悪くてキツいけど優しかったんだよ。
言葉じゃなくて、目で伝えてくれた。
幻みたいな笑顔で、対等でかけねない愛をおれに初めてくれたから、おれはそれを必死で返そうと思ったのだ。
何十倍に返したっていい。
おれの残りの愛情全部お前にやったっていい。
だっておれがずっと身が千切れる程の想いで暗闇の中で欲し続けた物をくれたのは、サスケだったんだ。
一生手に入らないかとすら疑った程の途方もない大きな物を、サスケはあっさりと渡してくれた。
あの時おれは、一度死なずに生まれた。
14の誕生日を迎えた次の日だった。
取材に出掛けたエロ仙人に一人の修行を課せられて、それに疲れて木の上でおにぎりを食べて休憩していると下で話し声がした。
見下ろすと今泊めてもらっている宿屋の娘が男の人と歩いていた。
何やら楽しげなその二人は甘い声を出しながらおれのいる木の下でいちゃつき始めた。
静かな森の中にキスの音が響く。虫と鳥の鳴き声がして、葉の間から差す光が二人の上にまだら模様を作った。
元イタズラっ子の自分としてはここは興味津々に見入る所だろう。
だけどその時とてもそんな気分にはなれなくて、素早くおにぎりと忍具を片付けてその場から去った。
さっき食べたおにぎりが胸でつまって気持ちが悪い。
見なきゃ良かったと思った。
これは、多分嫉妬だ。
小奇麗に整ったサスケの部屋のベッドの上で、サスケはその顔をそっと近づけてキスしてくれた。
白いシーツを握る感触がその後戻る。
イタズラみたいにしたそれが小さなリップ音を立てた事に驚いて呆けた顔でサスケを見ると、サスケはそんなおれを見てニッと笑った。
「ウスラトンカチ」
長い横髪に似合う、サスケのそのイタズラな顔が好きだ。
笑ったままサスケが言った。
「何が可笑しいんだよ」
「サスケだって笑ってんじゃねぇか」
「へっ」
楽しいって言うんだろうな、こういうの。
サスケが首筋に噛り付いて押し倒してきたので、いてぇって言いながらケタケタ笑って足をバタつかせていると、サスケはパジャマの裾から手を入れてわき腹をくすぐってきた。
「ふふっあはってちょ、やめろってばサスケ!」
「そんな楽しいかよ」
首を舐められる感覚が、舌のザラザラした感覚が可笑しかった。
横に皺くちゃに追いやられた毛布が柔らかくて、肌に触れる手の平が冷たくて気持ちがいい。
「ぎゃあ!何すんだってばっははっやめろってば!」
「フッ」
胸の突起を触ってきたので驚いた。
何してやがんだと言いながらも仕返しにサスケをクルリと押し倒して、パジャマを剥いで触られた所を触ってやったらサスケはハハと笑っておれに好きなようにさせた。
唇にキスしてから首筋を舐める。
手首を掴んで固定すると少し支配感が増したけれど、意地を張ってるのか相変わらずサスケは鼻で笑う。
わき腹を撫でるとサスケはくすぐったそうに一瞬ビクッと身をよじってからみぞおちを蹴ってきた。
「くすぐってぇんだよ、ばか」
「サスケもやったじゃねぇか」
またひっくり返して人の上に乗って手に絡ませてくるサスケの指と、口をまさぐるサスケの舌と、そこここに当たるサスケの体全部が、幸せで異世界で心地良かった。
水平線の向こうにあった人の感覚が、今はゼロの距離にある。
一人じゃないってこういうのなんだな。
言葉の意味を初めて知った聾盲の子供みたいに、おれはその時初めてそれを知った。
「なぁサスケ、電気消さねぇと外から見えるってば」
「何か問題あるかよ」
「えーだってご近所様に噂されちまうってばよ?」
「へっばーか」
笑うサスケは気にせず肌を弄る。
頬に黒髪が当たった。
「知んねーかんな、ふん」
「ふん」
「ははっ」
「はははっ」
そうして散々体を弄り合って、電気を消しに行こうとしたおれをサスケは足首を引っ張ってこかして引きずり戻すもんだからまた小突き合ってもみ合って、散々笑って体を使って疲れきった頃に電気はサスケが消しに行った。
「なぁサスケェ」
「んー?」
月明かり差し込むベッドの上で静かになったサスケに声をかけると眠そうな声が返ってきた。
「兄弟ってこんな感じかなぁ」
サスケは暫く黙ってからフンと鼻で笑い、そして言う。
「違うだろ」
「えーだってさぁ」
「違うんだよ。もう寝ろ」
「へー」
そっかじゃあおれだけなのかな。
そう思うと嬉しくてニヤついていると、またサスケにほっぺたを掴まれて上を向かされた。
「おいナルト」
「何だよ」
「大人だったらこっから先どうやるか知ってるか?」
「何かやんの?何だってば?」
「やってやろうか?」
イタズラな目でサスケがまたニッと笑う。
「何だってば?やりてぇ」
好奇心いっぱいの目でそう言うと、サスケは何だか面食らった顔をして、それから微妙な笑い方をして言った。
「また今度な」
「何だよ、今度っていつだってば」
「お前にはまだ早い」
「何だってばそれ。同い年じゃねぇか」
「残念だな。今おれの方が一個上だ」
「んなのすぐ追いつくってばよ」
「じゃあだったら、お前が13になったらな」
「13になったら・・」
「そしたら教えてやるよ」
「ぜってぇ?」
「・・ふん。多分な」
そう言ってサスケは向こうを向いて眠った。
13になってからは色々あって機会ができなかったけれど、サスケは本当に教えてくれるつもりだったんだろうか。
大人の世界を知ってしまった今、益々謎めいて思う。
あれはもう少し大人になってからするべき事であって、大人へのステップを考えるとおかしかったんだろうけど、でも本当の友達がよく分からなかったから多分仕方なかったんだ。
それにエロ仙人の本を読まされて思ったけれど、している事は似ていてもあれは恋人なんかじゃなかった。
だって好きな人が目の前にいるのに苦しいって感情もよく分からない。
ただサスケはおれにとって全てで必要不可欠で、いないとダメだった。
友達でライバルで恋人で家族で、普通の人は分ける所を全てサスケ一人に担わしてたんだからサスケはいっぱいいっぱいだ。
何で今いないんだろう。
会いてぇよ。
急に泣きたくなって森を出て一人でわんわん泣いていると、ちょうどエロ仙人が帰ってきていた。
おれを見たエロ仙人は地球外生物を見るような奇妙な物を見る顔をしたけれど、泣いている理由も分からないおれの頭を優しくなでてくれた。
「どうしたんだのぉ」
小さく笑いながら撫でるそれは暖かくて大きくて、父さんの手みたいだ。
「子供みたいだのぉ」
笑われてるのは分かっていた。いい年こいてバカじゃねーかと思うけど、それでも、止まらねーんだ。
物凄い喪失だ。
急にサスケがいなくなった事が耐えられなくなった。
なぁエロ仙人。
足りねーんだよ。
誰よりもあいつが欲しい。
もうサスケと会わずに一年が経った。
おれはもう14になったよ。
一人行っちまったサスケはおれとの絆なんて兄貴を倒す賭け金みたいに思ってたのかな。
死ぬ程兄貴を倒したがってたから、その賭け金も相当な額かもしれないと楽観思考で見る事はできるけれど、それでもあいつは兄貴が一番大切だったし、おれはお前が一番大切だった。
それでも。
フラれたんでも何でも、取り戻すから。
サスケ。
修行して修行して修行して、死ぬ程強くなったらあいつに届くのかな。
あいつは自分より強い奴に対してありったけの関心を向けてくれる事を知っているから。
泣きたい時も辛い時も、断ち切りたくないサスケとの絆が、おれを突き動かす原動力の全てだった。
終
後書き
wjのナルトの大告白を見て、本当何でそこまでと思い、ああこいつらデキてたんだと思って書いた物・・。
触り合いはナルトは実は多少意味が分かって楽しんでます。
← →
甘々エロ
あまあくて、優しい笑顔に見えた。それはほんの一瞬、キスの余韻のせいで頭がイッてたのかもしれない。
でもサスケは確かに口が悪くてキツいけど優しかったんだよ。
言葉じゃなくて、目で伝えてくれた。
幻みたいな笑顔で、対等でかけねない愛をおれに初めてくれたから、おれはそれを必死で返そうと思ったのだ。
何十倍に返したっていい。
おれの残りの愛情全部お前にやったっていい。
だっておれがずっと身が千切れる程の想いで暗闇の中で欲し続けた物をくれたのは、サスケだったんだ。
一生手に入らないかとすら疑った程の途方もない大きな物を、サスケはあっさりと渡してくれた。
あの時おれは、一度死なずに生まれた。
14の誕生日を迎えた次の日だった。
取材に出掛けたエロ仙人に一人の修行を課せられて、それに疲れて木の上でおにぎりを食べて休憩していると下で話し声がした。
見下ろすと今泊めてもらっている宿屋の娘が男の人と歩いていた。
何やら楽しげなその二人は甘い声を出しながらおれのいる木の下でいちゃつき始めた。
静かな森の中にキスの音が響く。虫と鳥の鳴き声がして、葉の間から差す光が二人の上にまだら模様を作った。
元イタズラっ子の自分としてはここは興味津々に見入る所だろう。
だけどその時とてもそんな気分にはなれなくて、素早くおにぎりと忍具を片付けてその場から去った。
さっき食べたおにぎりが胸でつまって気持ちが悪い。
見なきゃ良かったと思った。
これは、多分嫉妬だ。
小奇麗に整ったサスケの部屋のベッドの上で、サスケはその顔をそっと近づけてキスしてくれた。
白いシーツを握る感触がその後戻る。
イタズラみたいにしたそれが小さなリップ音を立てた事に驚いて呆けた顔でサスケを見ると、サスケはそんなおれを見てニッと笑った。
「ウスラトンカチ」
長い横髪に似合う、サスケのそのイタズラな顔が好きだ。
笑ったままサスケが言った。
「何が可笑しいんだよ」
「サスケだって笑ってんじゃねぇか」
「へっ」
楽しいって言うんだろうな、こういうの。
サスケが首筋に噛り付いて押し倒してきたので、いてぇって言いながらケタケタ笑って足をバタつかせていると、サスケはパジャマの裾から手を入れてわき腹をくすぐってきた。
「ふふっあはってちょ、やめろってばサスケ!」
「そんな楽しいかよ」
首を舐められる感覚が、舌のザラザラした感覚が可笑しかった。
横に皺くちゃに追いやられた毛布が柔らかくて、肌に触れる手の平が冷たくて気持ちがいい。
「ぎゃあ!何すんだってばっははっやめろってば!」
「フッ」
胸の突起を触ってきたので驚いた。
何してやがんだと言いながらも仕返しにサスケをクルリと押し倒して、パジャマを剥いで触られた所を触ってやったらサスケはハハと笑っておれに好きなようにさせた。
唇にキスしてから首筋を舐める。
手首を掴んで固定すると少し支配感が増したけれど、意地を張ってるのか相変わらずサスケは鼻で笑う。
わき腹を撫でるとサスケはくすぐったそうに一瞬ビクッと身をよじってからみぞおちを蹴ってきた。
「くすぐってぇんだよ、ばか」
「サスケもやったじゃねぇか」
またひっくり返して人の上に乗って手に絡ませてくるサスケの指と、口をまさぐるサスケの舌と、そこここに当たるサスケの体全部が、幸せで異世界で心地良かった。
水平線の向こうにあった人の感覚が、今はゼロの距離にある。
一人じゃないってこういうのなんだな。
言葉の意味を初めて知った聾盲の子供みたいに、おれはその時初めてそれを知った。
「なぁサスケ、電気消さねぇと外から見えるってば」
「何か問題あるかよ」
「えーだってご近所様に噂されちまうってばよ?」
「へっばーか」
笑うサスケは気にせず肌を弄る。
頬に黒髪が当たった。
「知んねーかんな、ふん」
「ふん」
「ははっ」
「はははっ」
そうして散々体を弄り合って、電気を消しに行こうとしたおれをサスケは足首を引っ張ってこかして引きずり戻すもんだからまた小突き合ってもみ合って、散々笑って体を使って疲れきった頃に電気はサスケが消しに行った。
「なぁサスケェ」
「んー?」
月明かり差し込むベッドの上で静かになったサスケに声をかけると眠そうな声が返ってきた。
「兄弟ってこんな感じかなぁ」
サスケは暫く黙ってからフンと鼻で笑い、そして言う。
「違うだろ」
「えーだってさぁ」
「違うんだよ。もう寝ろ」
「へー」
そっかじゃあおれだけなのかな。
そう思うと嬉しくてニヤついていると、またサスケにほっぺたを掴まれて上を向かされた。
「おいナルト」
「何だよ」
「大人だったらこっから先どうやるか知ってるか?」
「何かやんの?何だってば?」
「やってやろうか?」
イタズラな目でサスケがまたニッと笑う。
「何だってば?やりてぇ」
好奇心いっぱいの目でそう言うと、サスケは何だか面食らった顔をして、それから微妙な笑い方をして言った。
「また今度な」
「何だよ、今度っていつだってば」
「お前にはまだ早い」
「何だってばそれ。同い年じゃねぇか」
「残念だな。今おれの方が一個上だ」
「んなのすぐ追いつくってばよ」
「じゃあだったら、お前が13になったらな」
「13になったら・・」
「そしたら教えてやるよ」
「ぜってぇ?」
「・・ふん。多分な」
そう言ってサスケは向こうを向いて眠った。
13になってからは色々あって機会ができなかったけれど、サスケは本当に教えてくれるつもりだったんだろうか。
大人の世界を知ってしまった今、益々謎めいて思う。
あれはもう少し大人になってからするべき事であって、大人へのステップを考えるとおかしかったんだろうけど、でも本当の友達がよく分からなかったから多分仕方なかったんだ。
それにエロ仙人の本を読まされて思ったけれど、している事は似ていてもあれは恋人なんかじゃなかった。
だって好きな人が目の前にいるのに苦しいって感情もよく分からない。
ただサスケはおれにとって全てで必要不可欠で、いないとダメだった。
友達でライバルで恋人で家族で、普通の人は分ける所を全てサスケ一人に担わしてたんだからサスケはいっぱいいっぱいだ。
何で今いないんだろう。
会いてぇよ。
急に泣きたくなって森を出て一人でわんわん泣いていると、ちょうどエロ仙人が帰ってきていた。
おれを見たエロ仙人は地球外生物を見るような奇妙な物を見る顔をしたけれど、泣いている理由も分からないおれの頭を優しくなでてくれた。
「どうしたんだのぉ」
小さく笑いながら撫でるそれは暖かくて大きくて、父さんの手みたいだ。
「子供みたいだのぉ」
笑われてるのは分かっていた。いい年こいてバカじゃねーかと思うけど、それでも、止まらねーんだ。
物凄い喪失だ。
急にサスケがいなくなった事が耐えられなくなった。
なぁエロ仙人。
足りねーんだよ。
誰よりもあいつが欲しい。
もうサスケと会わずに一年が経った。
おれはもう14になったよ。
一人行っちまったサスケはおれとの絆なんて兄貴を倒す賭け金みたいに思ってたのかな。
死ぬ程兄貴を倒したがってたから、その賭け金も相当な額かもしれないと楽観思考で見る事はできるけれど、それでもあいつは兄貴が一番大切だったし、おれはお前が一番大切だった。
それでも。
フラれたんでも何でも、取り戻すから。
サスケ。
修行して修行して修行して、死ぬ程強くなったらあいつに届くのかな。
あいつは自分より強い奴に対してありったけの関心を向けてくれる事を知っているから。
泣きたい時も辛い時も、断ち切りたくないサスケとの絆が、おれを突き動かす原動力の全てだった。
終
後書き
wjのナルトの大告白を見て、本当何でそこまでと思い、ああこいつらデキてたんだと思って書いた物・・。
触り合いはナルトは実は多少意味が分かって楽しんでます。
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