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きまぐれロマンティック




あぁ、君を悲しませるのも

君を喜ばせるのも



全部ゼンブ、僕の思い通りになれば良い。










「アイク」

名前を呼べば君は至極素直に振り返って。
僅かに首を傾げて、僕の瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
どうかしたか、って言わなくても雄弁と語るその瞳に小さく微笑んで首を横に振る。

「何でもないよ。ただ呼んでみただけ」

そう笑いかければ、一瞬きょとんとした顔をして。けどすぐにまたいつもの表情に戻って、小さくそうかと呟いた。

何時ものこと──というか随分分かるようにはなったけれど、アイクは感情の起伏が他の人よりも随分薄いと思う。


──涙を流して泣く、とか。声を上げて笑う、とか。
そんな所、未だお目に掛かっていないけれど。ふと、頭の中に思い浮かべて、薄く笑みが零れる。


─…きっと、そんな風に感情を露にする君はすごく可愛いんだろうね。


いつか、そんな君が見てみたいけれど今は……。


「…アイク」

名前を呼んで、今度は振り返り様に頬に軽く口付ければ、一瞬息を呑むような小さな声が漏れて。
次の瞬間には、顔が真っ赤に染まっていた。



……こんな顔を知ってるのは僕だけだろうから。

今は、それを楽しんでおくよ。


そう小さく心の中で呟いて、未だ落ち着かない様子で視線を泳がせている君に、触れるだけのキスを落とした。



end.




マルス様のお腹が真っ黒ですみません;;でも、どうしても世界でいちばん王子様☆なイメージが抜けなくて…←←
この二人のカプは普通に好きです♪かわいい〜vv