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happy happy date




例えば、世界中の人にとってどうでも良い日だったとしても。



私にとって。
─そして彼女にとっては大事な一日。







「今日の定例会議を始める!」

黄色い不可思議な物体─もとい、自称鷹のい組の頭領─音速丸がバンと勢い良く机を叩いた。

その音ともに、その場にいた全員に緊張が走る。
…ただし、一人を除いて。

「てゆーか、何でわたしがここにいなきゃいけない訳?」

不服そうに呟き、音速丸を睨み付けたのは、すっかりい組とも馴染んでしまった不幸(?)な女子高生の楓だ。
アホらしと一言呟いて、部屋を出ようとした楓を慌てて音速丸が追い掛ける。

「オイオイ、ちょいと待ちなよ、そこのガール」

「何よ?」

特に大事な用じゃないんでしょと雄弁に瞳が訴えかける。
チチチと音速丸は指を横に振る。

「大事な用があるから呼んだに決まってんだろ?」

「アンタの大事な用なんてどうせ大した用事じゃないでしょ」

「何を!?そんなこと言う奴には胸さわさわの刑だ!!」

「そんな…!!音速丸さん、それはあまりにもうらやま…いや、重すぎます!!」

ざわっと忍者たちが色めく中、代表するようにサスケが止めるように嘆願する。それを片手で制止させると、威厳のある声で重々しく告げた。

「良いか、サスケ…。忍者とは非情でなければならんのだ。という訳で楓」

「な、何よ?」

「大人しく胸を出せ」

「あ…阿呆かーーっ!!!」

「音速丸さーん!!?」

忍者たちの叫びも虚しく、楓の放ったアッパーは音速丸を空の彼方へと追いやったのだった。





「え?今日がシノブちゃんの誕生日?」

サスケが出してきたお茶をすすりながら、事情を説明していたデビルに問い返す。
こくりとデビルは頷き、言葉を続ける。

「そういう訳で、なにがお祝いの品にふさわしいかを楓さんにアドバイスを頂こうかと」

「はぁ、なるほどね」

ようやく合点がいったという表情で楓が頷く。
それを横目でちらりと見つめ、恨みがましそうに音速丸がぶつぶつと呟く。

「あいつ、生意気だよ。ちょっと胸触らせろって言っただけなのにさ」

「音速丸さん、女の子にとって胸は神聖なものですから」

まぁまぁ、と忍者たちに宥められ、不服そうに嘴(?)を尖らせる。

「にしてもさぁ、やりすぎじゃね?絶対調子に乗ってるよ」

「うっさいわよ、そこ!」

いい加減にしなさいと一喝して、楓がバンと机を叩く。
途端にしんと静まり返った所で、こほんと一つ咳払いをする。

「で?何かアイディアは出てるの?」

「当たり前だ!!俺たちを何だと思ってる!?」

びしっと指を突き付け、ポーズを決めた音速丸に若干楓がたじろぐ。

「な、何よ。えらく自信満々ね?」

「ふ…。我々がどれだけ話し合いを重ねたと思ってる?」

ふぅと哀愁さえ漂わせて、音速丸がココアシガレットをすぱーっと煙草を吸うように口にくわえてみせる。

「ちなみに聞いとくけど、プレゼントは自分とか言うんじゃないでしょうね?」

「それは最終手段だ!やはり、女子といえばアクセサリーか服!!」

「う…。意外にまともな意見じゃない」

信じられないといった表情の楓に自慢げに音速丸が胸を張る。

「よし、まずお前から!!」

びしっと端に座っていた忍者を指差すと、勢い良く挙手して立ち上がった。

「はい!自分はやはり猫耳が良いと思います!!」

「何を!?猫耳だけでは不十分だ!!やはりそこはしっぽも外せんだろう!!」

「いや!!猫耳としっぽだけでは完璧とは言えない!!やはり、ねこねこハンドを付けてこそ完璧と言えるのではないだろうか!?」

「いや、違う!!その猫耳衣裳を際立たせるための衣裳が必要だ!!やはりここはひらひらメイド服を──」

「いい加減にせんかーっ!!!」

どこからか取り出したハリセンで、バシーンと勢い良く叩き飛ばす。
キラリと何人かの忍者が星になって消えた。

「はぁ、はぁ…」

「あれ?皆さん集まって何してるんですか?」

ニコニコと笑みを浮かべてシノブが部屋へと入ってくる。死屍累々といった様子の部屋を見て、ぽんと手を叩いた。

「あ、分かった!秘密特訓ですね?楓さんと一緒になんてずるいですよ〜!!」

「へっ?いや、そういう訳じゃ…」

「違うんですか?じゃあ、どうして楓さんがここに?」

「まぁ、色々ね」

あははと笑ってごまかすと、こほんと一つ咳払いする。

「それより。おめでとう、シノブちゃん」

「?ありがとうございます」

きょとんと首を傾げたまま、ぺこりと頭を下げたシノブを見て、楓が困ったように眉をしかめた。

「えっと…。今日誕生日なのよね?」

確認のため、といった様子で恐る恐る尋ねた楓に、にっこりとシノブが笑い返す。

「いいえ?私の誕生日は明後日ですよ」

「………音速丸〜?」

怒りを含んだ声で、ゆっくりと楓が振り返り、音速丸を睨み付ける。
音速丸は可愛くぺろっと舌を出すと、こつんと頭をこづいてみせた。

「いっけね。新しいアニメの放送日と間違えて覚えてた☆」

「そんなもんと大事な誕生日を覚え間違えるなー!!」

パーンと勢い良く吹き飛ばすと、はぁはぁと肩で息をつく。
その姿を見つめながら、シノブがぽつりと呟いた。

「もしかして…皆さんで私の誕生日のことを話してたんですか?」

「えっ?あ、うん…。結局まともに話せなかったけど…」

すまなそうに俯き加減で話す楓の手をぎゅっと握り締めて、満面の笑顔を浮かべた。

「そんな…。考えてもらえただけで幸せ者ですよ!!」

「うーん…。でも、やっぱり何かしてあげたいんだけど…」

欲しいものとかない?と尋ねた楓に、シノブは迷うことなく笑みを向ける。

「私は楓さんがいてくれたら幸せ指数満タンです!」

「そ、そう?…んー、ならさ。その日はお出かけしよっか?おいしい喫茶店見つけたから」

どう?と上目遣いに尋ねた楓に極上の笑顔でシノブが応えた。

「勿論ですよ!デートなんてすっごく嬉しいですっ!!」

「あはは…、そんな大げさな…」

「そんな事ないですよ!誕生日に楓さんとデートなんて、一番嬉しいプレゼントです」

にっこりとあまりにもシノブが嬉しそうに笑うので。
照れながらも、楓も微笑み返し、ぎゅっと握られた左手にそっと自分の右手を重ねた。






end.



ほのぼのGLなシノブ伝でした。めちゃめちゃアニメハマったなぁ。
この二人は未だに好きな二人です♪もっとラブラブになったらいいよ!!←←