Colors─それは酷く強引に、自分勝手に。 ただ無為に流れていくだけだった季節を、時間を。 色鮮やかなものへと変える。 かさり、かさりと一歩踏み出すごとに乾いた音を立てる地面に目をやる。赤や黄色の枯葉が通りを鮮やかに彩っていて、いつもの道ではないみたいだった。 「落ち葉多いよなぁ」 「…そうやな」 ふと隣から掛けられた言葉に適当に相槌を打つ。 時折吹いてくる北風が冷たくて、空いている両手を擦り合わせる。 その手を横から伸びてきた大きな手に捕まれ、半ば強引に手を繋がされる。 「…放しや。鬱陶しい」 「こうしてた方があったかいだろ?」 まるで当たり前のことをしているように返されて、言葉につまる。 振り払おうとしてみたけれど、思いの外強く掴まれていて、振り払えそうになくて。諦めて視線を手から外して、街路樹へと移す。 「けど、こうやってゆっくり見るとやっぱ綺麗だよなぁ」 「え?」 ふと掛けられた言葉に隣を見ると、風に舞い落ちる銀杏の葉をじっと見つめていて。真っすぐなその瞳に、どきりとした。 それを気付かれたくなくて、慌てて視線を舞い落ちる葉に移す。 ひらり、ひらりとゆっくりと落ちていく様子はまるで舞っているようで。 その美しさにふと笑みが零れた。 「たまには、こうやってゆっくり歩くのも良いだろ?」 「……せやな」 繋いだ手はあたたかくて、辺りは色鮮やかに彩られていて。 どうしてだろう。 気にも止めなかった世界が酷く違うものに見えた。 知識としてしか知らなかった色の無い世界を、鮮やかな色が彩っていく。 end. ケイナはたまの関西弁がかわいいなぁと思います。柚識が無性に書きたい…(何) |