happy skyあの空を君に見せたい、だなんて傲慢だろうか。 ふと陽射しの眩しさを感じて、手で陽射しを避けながら空を見上げる。 透き通るような青を湛えた空は広く遠く。雲一つない晴天だ。 降り注ぐ陽射しは強く眩しいけれど、時折吹いてくる風が陽射しの強さを和らげてくれているようだった。 ──昼寝日和、とはこういう日をいうんだろうか。 こういう日は眠いと口癖のように言っていた弟の台詞を思い出して、小さく笑みを零す。 ふと気になって腕にした時計に目をやれば、時間はもうすぐ講義が始まる時間を指していて。 走れば間に合うであろう講義を頭に思い浮かべたけれど、目の前の空の青さと心地よさがどうしても離れがたく感じて。 時計から視線を外すと、見なかったふりをするように、ごろりと地面に寝転んだ。 屋上のアスファルトは固く冷たく。お世辞にも綺麗とは言えなかったけれど、寝転んで見上げた空があまりにも綺麗で。気にならなくなっていた。 ぼんやりと空を眺めていたら、講義の始まりを告げるチャイムが鳴って。 そのチャイムの音に交じって、不意に聞こえてきた足音に気付いて身体を起こした。 「講義が始まるぞ。何をしている?」 起き上がると同時に背後から聞こえてきた生真面目な強い声に小さく笑みを零す。 「サボリ。…君は?」 振り返りざまそう告げた私に、不機嫌そうな顔で赤い髪が印象的な同級生─ケビンが盛大に溜息をついた。 「俺はこの時間の講義は受けていない。大体サボリとは何だ!貴様、やる気がないのか!?」 「そんなことはないよ。今日はあまりにも良い天気だったから」 だからつい、と笑うとケビンの眉間の皺がますます深くなる。 別に出たくない講義ではなかったのは事実だけれど、それ以上にこの空を見ていたかったのもまた事実だ。 「…君はこの時間空いてるんだよね?」 「そうだが?」 どうしたと訝しげな顔で見つめられ、素直な反応に苦笑を零した。 「君も一緒にどうだい?」 ぽんと隣を叩いて、空に視線を送る。こんなに綺麗な青空を自分だけしか知らないのは勿体ない気がして。 出来るなら君に──そう、この空が似合いそうな君に見せたい。 「…少しの間だけだからな」 むっとした表情のまま、しっかりと釘を指して、隣に座ったケビンをじっと見つめる。 空を見上げる瞳は真っすぐで、その瞳には綺麗な青が映っていた。 「…っ、何を見ている!」 私の視線に気付いたのか、空を見るんじゃないのかと怒声まじりに言われ、曖昧に頷く。 確かに空を見たかったけれど、隣に君がいるならまた話は別で。 「見ているよ」 君の瞳に映った空を、と声に出さずに呟いて、羞恥からか僅かに赤く染まった頬に口付けた。 end. 【オマケ】 オスカー「どうかしたかい、ケビン?」 ケビン「どうかしたかではないっ!!き、貴様何を考えている!?」 オスカー「…?何がだい?」 ケビン「何がだと…?そんなの決まっているだろうっ!!外でせっ…接吻するなど…!(小声)」 オスカー「あぁ、そのことか。誰も見てないよ」 ケビン「誰も見ていなければ良いという問題ではないだろう!大体公共の場である外でそんな─んむっ」 オスカー「…講義中は静かに、ね」 ケビン「〜〜〜っ!!」 ネフェニ「…?先輩、外に何か面白いことでもある…んですか?」 ヘザー「んー?春よねぇって思ってね♪」 ネフェニ「??今は秋ですけど…?」 ヘザー「そうねー。アタシとネフェニーにも春が来ないかしら?(ぎゅー)」 ネフェニ「せ、先輩っ///授業中に抱きつかねぇで下さいっ!///」 END. ということで、3周年記念でリクエストありましたパロです。初のくせに、ベタベタの現代パラレルです(笑) パラレルでオスケビということで、刑事モノとか戦国とか色々考えたんですが、結局現代モノ…というか学パロ?に落ち着きました。 本文中に書けなかったので補足しときます←← ●オスカー 大学三年生。社会学部。成績優秀な学生さん。ケビンとは大学以来の付き合いで、何かと突っ掛かられている。 ●ケビン 大学三年生。オスカーと同じく社会学部。同じ剣道サークルのオスカーをやたらライバル視している。 オスカーとは友人以上恋人未満のような関係(笑) *ネフェニー 大学一年生。農学部。先輩のヘザーにやたらと構われている。訛りを隠そうと必死で標準語の勉強をしている。 *ヘザー 大学四年生。経済学部。実は●浪。必修科目をいくつか落としているため、卒業出来ていない。 全学部共通科目の講義で見かけたネフェニーを気に入っている。 ……な感じです(長ッ) ホントはドライブデートとかも書きたかったんですけどねぇ。 またいずれ続きを書くかもしれません(笑) そして、やたらオマケでネフェニーとヘザーがいちゃついててすいませんでした。何て俺得ww リクエスト、ありがとうございました! |