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sweetlove holic




胸に秘めた絶対的な想いは、ふとした言葉に、何気ない仕草に。

溢れては零れそうになる。








静かな夜。ようやく手入れの終わった弓から視線を上げると、深い闇が広がっていた。
辺りを照らすのはもう随分と短くなった蝋燭のみで、小さく頼りなさげな炎がぼんやりと光を放っているだけだ。

「随分遅くなっちゃったな」

ため息混じりに溢した言葉は闇に溶けるように消えて。いつも手入れが終わる時間よりも遅い時間であることを改めて感じた。
明日は傭兵団の仕事がある。戦いに備えて十分に休息を取るのも仕事だと教えられたことがふと頭に浮かんで。
急いで道具をまとめ、蝋燭を手に食堂を後にしようとしたところで、カタリと物音が聞こえてくる。

暗闇から聞こえてきた突然の物音に、神経が急速に研ぎ澄まされていくのを感じた。

「…誰かいるのか?」

「!シノンさん!」

真暗な闇の中から潜めるような足音と、絶対に聞き間違えたりなんてしない大好きな声が聞こえてきて。
手にした灯りを頼りに声のした方へと走り寄る。
蝋燭の小さな火に照らされ、僕の方を少しびっくりしたように見つめるシノンさんが見えて。会えた嬉しさに自然と笑みが零れていた。

「お前…。こんな時間まで何やってんだ?」

「明日のお仕事に備えて弓の手入れしてたんだ。シノンさんは?」

こんな遅くまで何してたのか気になってそう尋ねた僕に、気怠そうにシノンさんは小さく苦笑した。

「寝つけなくて呑んでたんだよ。ま、明日まで酒残す訳にはいかねぇから水でも飲もうかと思ってな」

「そうなんだ…。大丈夫?」

「あ?別に平気だ。大分眠くなってきたしな」

欠伸混じりにそう言うのを聞きながら、じっと様子を伺う。確かに寝つけないといった様子はないし、寧ろ部屋に戻ればすぐにでも寝てしまいそうな雰囲気だ。
良かったと声に出さずに呟いて。ほっとしたせいか、自然と笑顔が零れる。
心配そうな顔から、急ににこにことした表情になった僕を不審に思ったのか、シノンさんが訝しげに僕を見つめた。

「ンだよ?不機嫌そうな顔からいきなり笑いだして」

「何でもないよ!…ね、良く眠れるおまじないしてあげる」

そう言うと同時に、頭に疑問符を浮かべていたシノンさんの頬に口付ける。
お酒を呑んでいたせいか、いつもよりも少し熱い頬の熱が唇越しに伝わって、どくんと胸が大きく跳ねた。

「ヨファ、お前─!」

「おやすみ、シノンさん!」

これ以上いたって、怒られるだけだって知っているから。慌てて部屋を後にする。
後ろからまだ怒ったような声が追い掛けてきたけれど、ごめんなさいって心の中で謝って早足で部屋へと急いだ。

ドキドキと高鳴った胸はいつまでも鳴り止まなくて。
かすめるように触れた唇が嬉しくて堪らなかった。


──ねぇ、シノンさん。

尽きることのないこの想いはいつかシノンさんに届くかな?
大好きだよっていくら言っても足りないから。

言葉で、行動で。
何度でも何度でも、シノンさんに伝えたい。

尽きることはない想いを、形を変えて何度でも。


…何度でも。



end.




3周年ありがとうございます第一弾でUpさせて頂きましたヨファシノです。
一応リクエスト頂いたのは、「シノンのことが大好きなヨファ」だったんです…が…。うまく表現出来てるかめっちゃ不安です。
出来てなかったらホントすいません!でも、自分の中ではいつだってヨファはシノンさん大好きです!愛してます!←何
リクエスト、ありがとうございました!