子ども騙し「ガキは良いっすよね」 「あ?」 不貞腐れたような俺の言葉に、隣に座る想い人──シノンさんは、思いきり眉根をひそめた。 「若いってことは財産ってホントだったんすねー」 はぁと大きいため息を吐きながらそう言って、手にしていたグラスを傾ける。 別に、自分がもう若くはないだなんて全く思ってもないけれど、頭に浮かんできた少年と比べれば、自分はもういい年のオトナだ。 「…お前、酔ってんのか?」 まだ一杯目だぞ、と呆れた眼差しを向けられて、曖昧に笑ってみせる。 俺がアイツみたいに──ヨファみたいに。 ただ真っ直ぐにあなたを好きだと言えたら。 ただの「仲間」から、違う存在に、なれますか? …あなたの大事な人に、なれますか? 「シノンさん…。俺…」 「ンだよ?」 「……何でもないっす」 ─…そんなこと出来ないから、どうなるかだなんて結局は全然分からないまま。 end. ガトシノです。自分が書くとやたらガト→シノになる不思議(笑) この二人の組み合わせは好きです。大人気ない大人と気の良い後輩な感じが良いですねvv |