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Be OK




愛情を感じるということは、きっと何気ない仕草に、言葉に。含まれた意味に気付くこと。







夜の闇に金属音が響き、手に刃を受け止めた重みが確かに伝わってくる。小さな松明の光のみに照らされた世界は暗く、自分の得物よりも長い得物である奴──オスカーの槍は闇の中に消えては現れるように見えて、いつもよりも更に動きが掴みにくかった。

「これじゃ、君が不利じゃないか?」

何度か打ち合った後、オスカーがそう遠慮がちに口を開いた。確かに、オスカーの言う通り若干ではあるものの、俺が不利ではあるだろう。だが、そんなものは些細な問題だ。

「暗くてよく見えないのはお互い様だろう。別に問題ない」

「確かにそうなんだけれどね。この暗さじゃ私の刃先が見えないだろう?」

そう言うとオスカーは、もう打ち合う気はないとばかりに槍をすっと地面に下ろす。それを見て、むっと表情を硬くした。

「勝負の途中で辞める気か?」

「明日は戦だ。遅くまでやっていては、明日に障るよ」

宥めるようなその言い草が気に食わなかったが、確かに夜も更けてきたのは事実。勝負がつけられなかったことに不服はあったが、また戦が終わった後にやれば良いだけだと自分に言い聞かせて、構えたままだった斧を下ろした。

「仕方ないな。今日は引き分けだ」

そう宣言すると、てっきり肯定の言葉が来るだろうと踏んでいた俺の予想を裏切って、不意にオスカーが黙り込む。しんと流れる沈黙に、何か文句でもあるのかと問いただそうとしたところで、ぐっと腕が引っ張られ、掠めるように唇が押し当てられる。

「!」

「…不意をつけたから、私の勝ち、かな?」

何事かと目をしばたかせた俺に、ふっといたずらっぽく笑って、オスカーがそう告げる。その言葉に何かが吹っ切れたような気がして、にっと笑みを返して見せた。

「その程度では勝ったとは言えんな」

そう言うとそのまま身体を抱き寄せて、噛み付くように唇を奪った。




「ふ…ぅ…っ」

口づけの合間に零れる相手の吐息に、頭の芯がジンと痺れたように快楽が広がる。何度も何度も角度を変えて口付ければ、その度に心地よさが心を占めていって。いつの間にか勝負のことよりも口付けに夢中になっていた。

「ケ、ビン…っ」

唇が離れた僅かの間にそう名前を呼ばれ、胸がどくんと大きく跳ねる。
熱に浮かされるように、反射的に相手の手首を掴むと近くの壁にそのまま押し付け、もう一度唇を重ねる。

「んぅ…っ」

舌で口内の隅々まで愛撫するように絡ませる。息苦しいのか、隙を見て離れようとするのを追いかけて口付けを続ければ、押し付けた手にこもっていた力は抜けて。それを感じ取って唇を離すとふっと荒い息が吐き出されて。
赤く染まった頬が酷く扇情的に見えて、そのまま首元にちゅっと強く口付ける。

「っつ…!」

僅かに上がった声に口付けた唇を離すと、赤い華が喉元に刻まれていた。そのまま他の場所にも口付けようとしたところで、オスカーが慌てたように声を上げた。

「ケ、ケビンっ!」

「何だ?」

「その…これ以上は…」

止めて欲しいと糸目がいつも以上に雄弁に語っていて。その懇願するような雰囲気に、ふっと笑みを返した。

「止める気はないぞ」

「─っ…。明日は戦だ。戦場に出れないのは困るんだよ」

分かってくれ、と諭すような声にむっとして黙り込む。頭ではそんなことくらい分かっているが、熱を帯びた身体にそれを言い聞かせるのは少々酷な話だ。
眉を顰めて黙り込んだ俺に、困ったようにオスカーは小さくため息を零して。そして、小さく小さく呟いた。

「…手を、離してくれ。逃げはしないから」

約束すると言った言葉に、壁に押し付けていた手をそっと離す。そのまま槍を取って帰るのだろうかとぼんやりと考えていた俺の予想に反して、オスカーは地面に膝をつくと、そっと布越しに己自身に触れた。

「!」

「このままじゃ辛いだろう?だから─…」

そう消え入るように呟いて、そっと布越しに口付けられる。柔らかな熱が押し付けられた感触が伝わって、やんわりと快楽が再び身体に広がっていく。
そのままズボンを下げるのを止めずに見つめる。ひんやりとした夜の外気に晒されたけれど、オスカーが何をしようとしているのかが分かって。体が熱を帯びていく。

「ん…」

俺の考え通りに、オスカーはそっと己自身に触れると躊躇いがちにそれを口に含んだ。ぬるりとした感触と温かな口内の感覚に、ぐっと熱が集中する。
質量の増した己自身を感じてか、一瞬苦しそうに眉を潜めたけれど。オスカーは、吐き出そうとはせずに、そのまま深く飲み込むように咥えた。

「…ふ…ぅ…っ」

吐息と共に漏れる甘い声と深く、浅く咥える動きと口の動きに合わせて動く指の動きに次第に熱が増していく。

「オスカー…っ」

昂ぶった己を感じて名前を相手の名を呼ぶ。それと同時に吐き出した己の欲をぐっとオスカーが飲み込んでいく。こくんと上下した喉と、生理的な涙を流す姿が酷く扇情的で。吸い寄せられるように口付けると、困ったようにオスカーが笑った。

「今日は、これでおしまい。だから─…」

続きはまた明日──そう囁く声が耳に響いて。その囁きに覚悟しておけと小さく呟いて、薄く笑みを零した。



end.



ケビオスの裏みたいです、とのリクエストに応えてみようとして全力で空回りました。何だコレ、14禁くらいじゃね??ホントすいません、管理人の限界はこの辺りでしたorz