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愛温




おいで、と呼ぶ声に。

差し出された手のあたたかさに、逆らえなくなる。






キン、と響く金属音と共に手にしていた愛用の斧が手の内から弾かれ消える。
その衝撃でバランスを崩した身体は引力に引かれるがまま、地面に無様に尻餅をついた。

視線を巡らせて急いで地面に刺さった斧を引き抜こうと柄に手を掛けた所で、鋭い槍先が喉元に静かに触れた。

「私の勝ち、だね」

穏やかな声で、そう勝利を告げられて。
むっとした表情を隠しもせず顔を上げれば、ふわりと微笑む好敵手の姿があった。

「結構勢いよく倒れたけど、怪我はしてないかい?」

「別にこれ位平気だ」

大したことない、と告げると柔らかい笑みを向けられて。
馬鹿にしてる、とかじゃない──無事で良かったと伝えてくるようなその笑みに、嬉しさが込み上げて。

浮かんできたその感情を否定するように顔を背ければ、そっと目の前に手を差し出された。

その手の意味が分からず、きょとんとした顔で見つめた俺に、ふわりとオスカーは笑った。

「ほら、捕まって」

「別に一人で──」

「良いから」

そう言って俺の手を握った手はあたたかくて。
優しく繋がれた手から伝わってくる穏やかな熱が、心地よくて。

今日も俺は、その熱に囚われて。

お前からこんなにも離れがたくなるんだ。





自分の書くオスケビは、相変わらずオスカー兄さんの方が強い感じですね。何ていうか、実体験がそうだったので(笑)
二人を育てると大概オスカー兄さんのが強くなるのは、自分だけですかね?