wind symphony泣くような風の音に、全部全部溶けてしまえ。 夜も更け、小さなランプのみが照らす部屋の中。 外は吹き荒ぶ風の音に包まれていて、部屋の沈黙が余計に際立っていて。 綺麗に整えられたシーツの上で、俺は逃げ場をなくしつつあった。 「ケビン」 「…っ」 名前を呼ばれ、そっと頬に触れられる。 大げさにびくりと強ばった身体が情けなくて、心の中で盛大に自分を叱咤した。 「…本当に良いんだね?」 確かめるような─…それでいて気遣うような声色に、一瞬戸惑いが生まれる。 今なら、まだ引き返せる。それをコイツ─オスカーも咎めはしないだろう。 けど──…。 「お、前はどうなんだっ」 「私?」 「お前はっ、したいのか?したくないのか!?」 半ばヤケで叫ぶように投げつけた言葉に、オスカーは一瞬黙り込んで。 そして、そっと触れるだけのキスを額に落とされる。 「…そんなの、聞かなくても分かってるだろう?」 「〜〜ッ」 ──確かに、痛いくらい分かってる。 頬に添えられた手が、熱の籠もった声が。 俺に奴の想いを伝えているから。 「ケビン、君は…どうしたい?」 耳元で吐息混じりに囁かれた言葉に、ぞくりと背筋に甘い痺れが走る。 カラカラに乾いた喉で、絞りだすように声を上げた。 「俺、は…っ」 聞こえるか聞こえないか程度に小さく小さく告げた返答に、オスカーは驚くほど綺麗に微笑んで。 俺の答えに答える代わりに、深く深く口付けた。 「は、ぁ…っ」 口内を好きなだけ乱していった舌がようやく離れていったのを感じて、荒い息を整える。 生理的に滲んだ涙を拭おうとしたところで、ちゅと音を立てて、オスカーの唇が涙を拭っていった。 「ん…」 そのまま触れるだけの口付けをされると、喉元に噛み付くように口付けされる。 きゅっと強く吸われ、ぴりとした痛みと僅かな快楽が背筋を駆けていく。 僅かに強張った身体に、優しい口付けが落とされて。それが酷く心地よくて、自然と強ばっていた身体から力が抜けていった。 「オスカー…」 そんな風に気を使わなくても大丈夫だと伝えたくて名前を呼ぶと、オスカーはふわりと柔らかく微笑んで、深く深く口付けてきた。 「んぅ…」 口内のあらゆる所を撫でていく舌の動きに何とかついていこうと、おずおずと舌を絡めれば、あっという間に絡め取られ、呼吸すら忘れる位深く口付けられる。 「ん…ふ…」 耳に響く水音と自分の甘い声に、羞恥心が煽られる。恥ずかしさで思わず瞳をぎゅっと閉じていると、やんわりと己自身に触れられて、反射的に目を開く。 「んん…っ」 口付けられたまま、ゆっくりと己自身を愛撫される。 普段よりもゆっくりとした動きにもどかしい甘い快楽が身体を支配していく。 「…ぅん…っ」 先走りの液でぐち、と鈍い水音が響き始める。 それに合わせるように、ぐっと己自身への愛撫が激しくなって。 緩やかな快楽から急に強い快楽へと変わったからか、愛撫に導かれるままに、白濁を吐き出した。 「は…?」 「だから……。はい」 思わず聞こえてきた言葉に固まっていた俺に、酷く当たり前のようにオスカーが微笑んだ。 今はといえば──吐き出した己の欲で秘所を散々ほぐされ。 ぼんやりとした頭で、次の行動を予測していた俺に対して、予想外の言葉を聞いてしまって、思わず顔が引きつってしまっていた。 「じ、自分から…その…挿れろというのか?」 「そんなに難しいことじゃないよ。…それとも手伝って欲しいかい?」 くすり、と小さく笑ったオスカーに、むっとして結構だと言い放つ。 …けれど、言ったは良いものの、オスカーの膝にまたがるように乗ると、恥ずかしさで逃げ出したい気分に駆られた。 「す、座るように…だったな?」 「うん、そうだよ」 そっと励まされるように頬を撫でられ、すっと息を吸い込んで、覚悟を決める。 おずおずとそのままオスカーの膝に乗るような形で身体を下に下ろしていく。 「ん…っ」 身体に侵入してくる違和感に眉根を寄せる。 普段は俺の呼吸に合わせるように入ってくるソレは、今は自分の意志で飲み込んでいるのだと思うと、羞恥で身体が熱くなってくるのが分かった。 「は、ぁ…っ」 ゆるゆると飲み込んでいく感覚が嫌で、ぐっと飲み込むように膝の上に座り込む。 深く入った違和感に、ぞくりと甘い痺れが背筋を駆けていった。 「ケビン」 自然に止めてしまっていた息を吐き出すと、良く出来ましたと言うように、頭を優しく撫でられる。 それが酷く心地よくて。 静かに瞳を閉じた俺の額に、頬に。優しく口付けが落ちてきて。 そして、ぐっと深く繋がった箇所を突き上げられる。 「ぅあっ!」 突然与えられた快楽にびくりと身体が震える。 うっすらと瞳を開くと、オスカーが頬に口付け、耳を甘咬みされ、ぞくりとした快感が身体を駆けていく。 「ぁ、く…っ」 そのまま、首に、胸に。 口付けられる度に、深く深く突き上げられて。 響く水音とともに、快楽が深く深く色付いていく。 「ふぁ、は…っ!」 「ケビン…っ」 熱の籠もった声で名前を呼ばれ、噛み付くように口付けられると同時に、深く深く突き上げられて。 頭の中で何かが真白に弾けた。 「…ケビン」 「……五月蝿い」 「いつまでそうしてるつもりだい?」 「………」 先程の行為の羞恥から、布団を頭から被っていた俺の耳に至極穏やかな声が聞こえてきて。ゆっくりと布団から顔を出す。 ちらりとオスカーの方を見ると、ほっとしたように微笑んでいる顔が見えて、ぱっと顔を逸らした。 「やっと出てきたね」 クスクスと小さく笑いながら抱き締めてきた腕を払い落とそうとして、布団に邪魔されて上手くいかなくて。 深々とため息をついて、抱き締めてきた腕を甘んじて受け入れる。 「ケビン」 「…何だ?」 「可愛い」 「……っ!五月蝿い!」 ちゅ、と軽く音を立てて落ちてくる口付けに、ただでさえ赤い顔がますます紅潮していくのが分かって。 思い切り顔を背けては見たけれど、抱き締める腕も落ちてくる口付けも変わることはなくて。 諦めたようにため息を吐いて、抱き締める腕に小さく小さく口付けた。 end. 騎上位させるぞ!と意気込んだら、何かおかしな方向にまっがーれ↑しちゃった感じですね。相変わらずの残念クオリティなのは笑って流してやって下さいorz |