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wave emotion




遠い未来のことよりも、すぐ先の未来の方が、ずっとずっと大事だった。

みんなと一緒にいられるか、みんな無事でいられるか。

その事ばかりが気になって仕方なかったのに。












しん、とした空気が包む中、ボーレの部屋の中へと足を踏み入れる。

何度も入ってきた部屋のはずなのに、まるで知らない部屋に入るみたいで落ち着かなくて。

思わず繋いでいた左手に力がこもった。

「…ミスト?」

急に込められた力に違和感を感じたのか、気遣うような声がすぐ後ろから聞こえて。

振り返れば心配そうに私を見つめる愛しい人──ボーレの姿があった。

「ボーレ…」

名前を呼べば、ぐっと繋いだ手を引かれて、抱き締められて。

とくん、とくんといつもよりも早く刻む鼓動が聞こえてきて、小さく笑みを零す。


──あぁ、ボーレも私と一緒だ。


そう思ったら、緊張していた身体から力が抜けていくのが分かって。
空いた右手をそっとボーレの背中へと回した。

「…今日、すごかったね」

「おう、そうだな」

呟くように言った言葉と共に今日の結婚式の事を思い出す。

傭兵団のみんなはもちろん、エリンシア様までお忍びで来てくれて。
ジルだって、わざわざ仕事の合間を縫ってお祝いしてくれた。

みんな、みんな笑顔で祝福してくれて。
それが酷く嬉しくて泣いた私をボーレとお兄ちゃんが慰めてくれて。


そんな沢山のことを思い出して、笑みが零れた。



──ずっと、ずっと。
すぐ先の未来ばかりを気にしていたけど、今は…。

「…ボーレ、ずっとずっと一緒にいてね?」

「当たり前だろ。…ずっとずっと一緒だ」

言い聞かせるように言って、ぎゅっと抱き締めてくれる腕が頼もしくて、嬉しくて。
自然と笑みが溢れた。






甘々な二人をお届けしました。皆さん、抹茶のご準備は大丈夫ですか?(笑)
言わずもがなかもしれませんが、一応初夜のお話です。ここから先は……あ、はい、大人の時間ということで(何)