Happy Angelどんな些細なことだって、求められれば嬉しくて。 きっとそれは、貴方が大事な人だから。 「ハールさん!起きて下さいっ!」 陽もそろそろ高くなり始めたのにも関わらず、朝からずっと二度寝したまま起きようとしない元上司を揺さ振る。 昨日は珍しく呑んでいたせいだろうか。今日はやけに目覚めが悪いようで、揺さ振っても、あまり反応がなかった。 「ちょっと!もうお昼ですよ?起きて下さい!!」 強く揺さぶり、耳元でそう言うと、ようやく瞳が開き。酷く眠たそうな、ぼんやりとした視線が私に向けられる。 「もう…ようやく起きましたね、ハールさん。今日は天気良いから布団を──」 「ジル」 私の言葉を遮り、名前を呼ばれる。何事かと思い、顔を覗き込もうとしたところで、ぐいと強い力で引っ張られる。 「きゃっ」 咄嗟のことで、上手く対応出来るはずもなく。 引かれるがまま、ハールさんの上に倒れこんだ。 「あ、す、すいません!今退きますから!」 慌ててそう言って、起き上がろうとしたのに、逆に強く抱き締められる。 途端、かぁと顔が熱くて堪らなくてなって、心臓が壊れたみたいに早鐘を打つ。 「あ、あの…。ハールさん?」 どうかしたんですかと問い掛けようとしたところで、擦れた吐息が耳にかかって。 ぞくり、と背筋に甘い痺れが走り、上手く抵抗出来なくなる。 どうしていいか分からず、視線を彷徨わせていた私にハールさんが囁くように告げた。 「…布団干すのは別の日にしろ。今日は寝てろ」 たまには休みも必要だと付け加え、私を抱き締めたまま、瞳を閉じてしまう。 そんな勝手なとか、私は枕じゃないとか色々思ったけれど。 ─…それよりも、必要そうに、抱き締められた腕が嬉しくて。 ──一緒に眠りにつける、ただそれだけの事が特別のように感じて。 触れられた場所から感じる温もりを閉じ込めるように、静かに瞳を閉じた。 end. 何だかむやみに甘くなってしまった気がします、涼翅です。 ハルジルはジルが振り回されてる姿が可愛くて大好きですvv |