はばたくことり真っ直ぐ前を見据える貴方は、まるで太陽のよう。 あたたかくて、やさしくて。 こんなにも力強い。 真っ直ぐ抜き放った刀身を見つめて、すぅと息を吸い込む。 頭の中で切り裂いていく軌跡を描いて、そのまま瞳を開くと同時に、横一線に刃を振るう。 その刀に触れ、宙を舞っていた枯れ葉が二つに裂け、ひらりと地面に舞い降りた。 それをぼんやりと眺めていると、後ろから草を踏み分ける力強い足音が聞こえてきて。 慌てて刀身を鞘に収めて振り返れば、まっすぐに私を見つめる蒼の瞳にぶつかった。 「アイク様…」 「姿が見えたから気になってな。…邪魔したか?」 私の握り締めたアミーテを見つめたアイク様に、慌てて首を横に振ってみせる。 邪魔、どころか気に掛けてくれたことが嬉しくて、自然に笑みが零れていた。 「…緊張しているか?」 「えっ?」 「戦は、初めてだろう?」 静かな声で続けられる言葉に、小さく頷く。 私も戦う、だなんて大きいことは言ったけれど、剣を振るったのは所詮訓練だけで、実戦なんて体験したことはない。 その緊張からか上手く寝付けなくて、こっそり寝所から抜け出してきたのはついさっきのことだった。 「緊張はしています…。けど…」 少し言い淀んで、ちらりと隣に立つアイク様を見つめる。 変わらずまっすぐに見つめてくる視線は澄んでいて、力強くて。強ばっていた身体から力が抜けていくのを感じた。 「…アイク様がいるから…平気です」 私をずっと守ってくれた貴方を守りたいと思うから。 貴方が傷ついたなら、癒してあげたいと思うから。 ──だから、平気なんです。 「…お前は俺が守る。安心していれば良い」 そう言って微笑んだ貴方に、少しだけ笑い返して。 そして、ぎゅっとアミーテを抱き締めた。 ──守られるんじゃない、守ってみせるんだって。 そう心に強く誓って、蒼の瞳を真っすぐ見つめ返した。 end. 弱かった子が強くなろうとしている姿は好きです。 一生懸命って可愛いよね♪ |