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融解快温




感じるのは、真っ暗な闇と互いの気配。


─…そして、触れた所から感じる確かな熱。










─…最悪だ。

心の中でぽつりとそう呟いて岩影に身を寄せる。
空洞になったそこは身を寄せるには十分な広さだったが、予定ではもう着いているはずだった場所──アイク達のいる砦を思い浮かべるとため息を吐きたくなった。

「あーあ…。久しぶりに会えると思ったのになぁ…」

地面を強く叩く雨音と、闇に包まれ始めた世界を見つめて溜息を零す。
零れた溜息と一緒に脳裏に浮かんだのは、赤く長い髪と射抜くような眼差し。

─…そして、滅多に見れない笑顔。
そんな事を思い出せば、余計に会いたい気持ちが湧いてきて、ますますこの天気と暗くなり始めた現状に苛立ちが募った。

「…何してんだ?」

強い雨音に混じって聞こえてきたその声に思わず視線を向けると、暗い闇にうっすらと赤が見えて。ぽかんと口を開けたまま、そっとその赤に手を伸ばした。

「シノ…ン…?」

伸ばした指先で触れた所は雨でしっとりと濡れていて、シノンも自分と同じようにこの雨の中ここに辿り着いたのだと分かった。

「お前、仕事だったのか?」

ふと浮かんだ疑問をそのまま口に出すと、シノンの呆れたような声が静かに響いた。

「昼過ぎに着くとか言っておきながら、こんなとこで迷ってるジジイを迎えに来たんだよ」

「この嵐じゃ仕方ないだろ?暗くなってきたから、もうほとんど見えねぇし」

嫌味たっぷりのシノンの物言いにさらりとそう返すと小さく舌打ちをされて。相変わらずのその態度が何だか酷く可愛く思えて、口元が自然と綻ぶ。

「何だよ、俺を迎えに来てくれたのか」

「言っとくがついでだからな、街に用事があったから頼まれてやったんだ」

有り難く思いやがれと付け加えられた一言に、堪え切れずに笑みが零れる。


─…あぁ、何も変わってない。
分かりやすいくらいの嫌味も、どこか拗ねたように聞こえる声も。


──こんなに可愛くて愛しくて仕方ない、だなんて。

溢れる気持ちを伝えるように、うっすらとしか見えなくなった世界に映る赤にそっと口付ける。

「っ!?」

「あ、ここ鼻か」

ちゅ、と音を立てて触れたのはツンと尖った鼻先で、その誤差を頼りに今度は少し下に唇を押し当てる。

いきなりの事でびくりと体を強ばらせたシノンに安心させるように、そっと口付けを贈る。
押し当てた唇から、柔らかで雨で冷えた唇の感触が伝わってきて。冷えた唇が何だか可哀想で、暖めるようにぐっと唇を押し付け、ぺろりと舌で舐めると、呆然とされるがままになっていたシノンにぐっと肩を押されて引き剥がされる。

遠退く柔らかな唇の感触が勿体ない─なんて考えていた俺の耳に、苛立ったような声が響いた。

「やめろ…っ!いきなり発情してんじゃねぇよ!」

「失礼な奴だなー。冷えてたからあっためてやっただけだろ?」

─…確かに、久しぶりに触れた柔らかな感触は胸が焦がれる程に甘いものだったけれど、だなんて考えて笑みを零す。

俺からシノンの表情は見えないけれど、シノンからは俺が見えているらしく、ちっと舌打ちするのが聞こえた。

「へらへら笑ってんじゃねぇよ」

「いや、だって可愛いからさ」

やっぱり込み上げてくる愛しさは隠しきれなくて、へらりと笑ったままでそう宣った俺に心底呆れたようなため息が返ってきて。

酷いなー、なんて言おうとしていた矢先に、小さなくしゃみがそれを遮った。

「寒ぃ…。結構濡れたからな…」

独り言のように呟かれたシノンのその言葉に誘われるように、目の前の熱に手を伸ばす。

何となく感覚で伸ばした手はしっかりと身体に触れていて。そのまま抱き寄せると唇を寄せた。

「…っ」

唇が触れたところはどうやら耳だったらしく、シノンはびくりと身体を震わせると僅かに熱を帯びた吐息を吐き出した。

その熱をもっと聞かせて欲しくて、耳を甘噛みするとビクンと身体が反応して、煽るような声が鼓膜を震わせた。

「なぁ、シノン。寒いならさ、」

あっためてやるよ、と耳元で低く囁いて、抱き締めた腕に力を込めた。









「…っ。や、めろ…!」

嫌がる声も何だか煽っているように聞こえて、胸がどくんと重く高鳴る。
もちろんその否定の言葉は聞かないフリをして、手の感覚だけで探り当てたシノン自身をきゅっと軽く握る。

それに対し、あからさまにびくんと跳ねた身体に気付いて、ふっと小さく笑みを零した。

「な、気持ち良いか?」

からかうような調子を含んだ俺の物言いが癇に触ったのか、ゴンという鈍い痛みが頭に伝わった。

「いってぇ…。殴ることないだろー」

「うぜぇこと言うからだ、ジジイ」

つーか離れろ馬鹿、と続いた悪態にふっと笑みを零すとゆっくりゆっくりと愛撫を再開する。ひゅっと息を呑む声が酷く淫らに耳に響いて。
その存在を誇示するように、大きくなってきたシノン自身を掌に感じて、にっと口角を上げた。

「今やめられたら辛いのはお前だろ?」

「…っ、だ、れのせい、で…っ!」

愛撫の途中、途切れ途切れに呟かれた声が艶めいていて、気分が高揚していくのが分かった。
もっと、その声が聞きたくて、手の感覚を頼りに口にそっとそれを含む。
そのまま、舌でなぞるように舐め上げると、肩をぎゅっと掴まれる。

「やめ…っ!」

「嫌だ」

あっさりとそう言うと、止めていた愛撫を再開する。何度も何度も口付けて、舌でなぞっては口に含んで、舌を這わせる。

「っ、ふ…」

時折漏れる吐息混じりの声がやけに耳に響いて、それに応えるように、やんわりと甘噛みすると、肩を掴んでいた手にぎゅっと力が込められた。

「これ、良いのか?」

「っ、知るか…!」

強がるような艶めいた声に気を良くすると、今度は違う場所やんわりと甘噛みする。びくん、と身体が跳ねるのが分かって、その反応に次第に鼓動が早くなっていく。

「ふ、ぅ…っ」

抑えるような声に、少しだけむっとして、愛撫しながら舌を這わせれば、雨の音に交じって高い嬌声が響いた。

「ぅあっ!」

「そうそう、声我慢すんなって。どうせ雨の音でよく聞こえねぇんだから」

「う、るせ…!」

余裕のない声色に絶頂が近いのだと感じて、より一層の愛撫を与える。口に含んで、舌を絡めて吸い出すようにすると、それに誘われるように、白濁が吐き出された。

「あああっ!」

「っ」

吐き出された白濁をごくんと飲み込む。久しぶりに飲み込んだそれは、決して美味しいものではないのだけれど、シノンのものだと思うだけで、酷く甘いものに感じた。

「…っの変態…!」

「お前のじゃなきゃ飲まねぇよ」

「それが変態だってんだよ!」

苛々とした声に怒らせたかな、なんて思って感覚を頼りに手を伸ばすと、頬に触れることが出来て。

掌から伝わる熱さにただの照れ隠しだと気付いて、ふっと笑みを零した。




end.







終わってなくね?って言う終わり方をしてみました。←←
……ごめんなさい、着地点を見失いました。何かだらだらエロ書くの嫌だったんだもん…!←
文章力相変わらず欠如しててすいませんorz

ちなみにこの後二人は、夜が明けてから砦に行って、今度は灯りがあるとこでリベンジです。だって、挿れてn(ry

あああ…。何か色々すいません。語彙力と表現力が欲しいです。

お付き合い、ありがとうございました!



2010.7.7