NEW YEAR!!!(3)
※キャラ崩壊注意
みんなが振り向くとそこには武市さんがいた。もちろん女装をしている。武市さんにぶたれた龍馬さんは我に返り、握っていた桂さんの手パッと離した。
「ワシは何を…桂さんに…っ!」
「武市さん、まだ出てきちゃ駄目ですよ!」
「あぁ、すまない。なかなか呼ばれなかったからね」
「せ、先生…!美しい!」
「当然だ」
「武市くんは女装は嫌ではないんですか?」
「満更でもないみたいだなっ!」
「…ふんっ」
実は3人の中で一番ノリノリな武市さん。
淡い可愛らしい着物を着ているので、いつもより幼く見える。あたしと並んだら友達みたいかも!普段から着物の着方や姿勢も綺麗だから全くおかしいところがない。
みんなで盛り上がっていると見覚えのある人影がこちらに向かって歩いて来た。
「なんだ、騒がしいな」
「大久保さん!」
「勝手に邪魔したぞ。新年の挨拶にきたんだが…なぜ小娘が4人もいるのだ」
あたしと女装した慎ちゃんと桂さんと武市さんを順番に爪先から髪の先まで舐めるように見て、4人もいると手に負えんなとため息をついた。
「これは羽子板のばつげ…」
「時にそこの小娘」
大久保さんはあたしの説明を無視して女装した武市さんにスッと近付いて行った。
「…ふむ……、ふむ…」
「なん、ですか…」
「気に入った」
「…は?」
大久保さんは武市さんの顎を持って顔をまじまじと見るとニヤリと笑ってあたしの方を向いて、この小娘の名は何だと問いかけた。
「え…、その方は武市さんですよ」
「ほう、武市くんと同じ名前か」
「え、ちが…もがっ!」
「そうじゃ、大久保さん!それは武市の姉さんじゃ!」
「りょ、龍馬…!」
龍馬さんは、そうじゃなくてあの武市さんだと説明しようとしたあたしの口を手で塞ぎ、笑顔で大久保さんに嘘を吐いた。その言葉に焦る武市さん。だけど大久保さんは気にしなかった。
「おい、元祖小娘」
「は、はい!」
「この小娘を借りてくぞ」
大久保さんは武市さんの腕を掴みあたしの方を向いてニッと笑った。あたしが何か言うよりも先に龍馬さんが面白そうに承諾してしまった。
「構わん、構わん。煮るなり焼くなり好きにして食うちょくれ!」
武市さんはその言葉を聞いて口をパクパクさせていたけれど、大久保さんは素直に喜べ、と言って引き摺るように薩摩藩邸に帰って行ってしまった。
「良かったんですか?龍馬さん」
「構わんちゃ。羽根突きの続きをするぜよ!」
「よし、杏絵!俺が勝ったら俺の嫁になれ!」
「何を言い出すんだ、晋作」
「抜け駆けは駄目ッスよ、高杉さん!」
あたし達は羽子板の続きを楽しんだけど、元の姿に戻った武市さんと、げっそりした大久保さんが一緒に長州藩邸に帰って来たのはもう少し後の話。
「あ!言い忘れてた!」
「うるさい!」
「どうしたんスか?」
「皆さん、今年もどうぞよろしくお願いします」
2011.01.19
( おまけ )
トボトボトボトボ
「うおあーっ!!」
「…なんだ、坂本くんか」
「…ななっ、なんじゃ大久保さん!そげな顔して…びっくりしたぜよ!」
「あれ?大久保さん戻って来たんですか?」
「おい小娘!あれは武市くんの姉じゃなかったのか!?」
「…いや、それは…」
「ついていてはいけないものがついていたぞ!!!」
(一体なにした!?)
「な…っ、杏絵さんに向こうて下品な!」
「私は男を口説いていたのか…?」
「まさかほんに武市と気づいちょらんとは思わんかったき、ちくとイタズラをの…」
「…まぁ武市くんもなかなか美味だったが」
「…えっ!?」
(強制終了)
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