サンザシ | ナノ







学校からの帰り道、まさかクリス先輩に送ってもらう日が来るなんてドキドキしてしょうがない。

何度も断ったんだけど、もう暗いからとか帰りに走って帰るのがちょうどいいランニングになるとか言いくるめられた。

私も絵を描くためにクリス先輩を知っておくのも大事だと思うから、たくさんお話したくて一緒に帰れるのは実は凄く嬉しい。

「苗字は野球が好きなのか?」

「実は全くルールも知らなかったんです。」でも、あの日グランドでクリス先輩見ていたら凄く引き込まれちゃって、絵を描く時によく使う筋肉を知らないとリアルに描けないので今、野球勉強中です!と言ったらクリス先輩がちょっと嬉しそうに笑った。

なんでだろうクリス先輩が笑うと凄く嬉しい、頑張りたいって思う。

「苗字は頑張り屋だな」

そう言って私の頭をポンと叩く先輩の手が大きくて優しくてドキドキする。

「私、クリス先輩のこと応援してます!夏の大会は私も絵の仕上げとかがあって会場に応援に行けないかも知れないですけど、私は何処にいてもどんな時もクリス先輩を応援してますから!」

「…ありがとう。」

ちょっと暗くなった帰り道、少しだけクリス先輩と仲良くなれた気がした。







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