行き着く先

黒い糸が雁字搦めになって私の心臓を縛り付けるものですから、全て焼き付くしたくなってしまったのです。

夕日色した母の背中がどんどんと赤くなってゆくのが見えます。嗚呼どうか、どうかそのまま私のことも灰にして下さいませんか。

トンボがくらくらと、雲を追って行く。
冷えた風が私とどなた様かの髪の毛をさらって、いつかしらない土地へと息をひそめる。

この午後6時前の一瞬の出来事の役者は、全てみんな、いつか何処かへ散らばって行く。
お互いの知らぬうちに、糸が消えて行く。


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