見せかけの情達は
「これが、真実だ」
そう締めくくった内容は到底信じられる話ではなく。
「そもそも人間は悪で出来ていると俺は思うな。人間が善であるならば、同じ人間という種族で争う事も無く戦争も起こらないだろう?もっと、更にという欲があるからこそ、お前達は醜い。如何なる理由があれど、それが同じ種族と争う理由となるか?ならないだろ。一対一ならまだしも、大人数。有り得ないな。何をするにも欲、欲、欲。生物の中で人間という名の種族は身勝手で自己中だな。それを表したのが神子というように。そいつが、神子ならそれを称える人間も人間だ。身勝手と自己中を認めているということになるのだからな。本当に、
殺したい」
その言葉だけで、生きているのが辛くなる。ここから出たい。逃げたいと、勇者として情けないとか。ん、なことテメェの前では意味をなさない。
どれだけ、人間を恨み、憎んでいるかがひしひしと伝わってくる。神子なんてもう、
どうでもよかった。
あれほど、好きだった筈なのに。
「死ね」
その瞬間、黒い闇が俺達を包んで。
◇◇◇
目を開けるとそこは、俺達の国だった。頭の中に何かが流れ込んでくる。
――――憎イ憎イ憎イ、人間ガ憎イ
――人間ヲ殺セ
「あ、がっあ....」
門兵とかはいつの間に俺が帰ったのか疑問に思っただろうに、呆気なく俺を王へと通す。王の部屋に駆け込み、大声で言う。
「モウ、魔族達ヲ殺スナ。殺シタラ、俺ガ、テメェを殺す」
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