見せかけの情達は | ナノ

或る国の御伽噺


昔、昔あるところに平和な国がありました。その国は魔族が住んでいました。彼等は協力し合い、毎日楽しく過ごしていました。自然災害となく、土地は潤い、人々は笑い合い、それはもう幸せな国でした。

幸せは突如、人間達の手によって壊されました。人間はこの土地をよこせと理不尽な事を言いました。生活するには最も適している場所だったからです。魔族の王は断りました。彼等のいる場所がなくなるからと。自分達がこの土地を作ったのだと。

人間は激怒しました。なぜ、人間のいうことを聞かない、と。人間は次の日沢山の兵を用意し、魔族を殺していきました。沢山、数え切れない程に。

魔王は泣きました。なぜ、殺されねばならぬ、と。平和に過ごしていれば良かったのに、と。魔王は、反撃することを決めました。強い魔族達に命令を出し、人間を殺していったのです。魔族の強さに驚いた人間は逃げて行きました。それで、終わりと魔族は思いました。

けれども、違ったのです。人間は更なる力をつけて、またやって来ました。よくも、俺達の大切な人を一方的に殺したなと。

人間達は、嘘をついたのです。魔族に攻撃する理由を、強い憎しみを与えるために。

一方的になど、殺していない。先に仕掛けてきたのは、お前達だろう。魔王が人間達に言っても声は届きませんでした。





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