*攘夷時代捏造
夢主は救護班にいる設定。
銀さんとは恋人同士。



今日も天人を切った。天人だけではない。幕府側の人間、つまりは人をも切ったのだ。
斬って、斬って、斬りまくって。
視界は何時だって赤に染まる。
陣営に帰ると返り血も落とさずに自室へ戻り、膝を抱えて蹲った。

ーーばけものっ!

斬った相手の断末魔が耳に蔓延り五月蝿くって仕方がない。

「銀さん?帰ってるの?」

遠慮がちな声がする。暗がりのなか、目玉だけをぎょろりと動かせば千草が握り飯を持って立っていた。

「お握り、作ったの。お腹空いているでしょう?」

そう言って俺の傍らに握り飯を置いた。
鉄臭い匂いのなかに混じって、石鹸の匂いがふわりと漂う。
刹那。俺は千草の手をむんずと掴んでいた。
強い力で引き寄せれば女は簡単に体制を崩す。
それをいい事に、そのまま押し倒した。

「い、いた、い。銀さ……っ」

驚いて短い悲鳴をあげる女も構わず、覆い被さって唇を塞いだ。
抵抗しようとする千草の両手首を頭上でひとまとめにし、畳に縫い付ける。
舌を捻り込ませ、咥内を好き勝手に犯しながら着物の合わせに手を忍ばせ、胸をまさぐった。
左の胸に触れる。
掌に伝わる鼓動にひどく安心した。

嗚呼、生きている。こいつは生きている!

「や、銀さ……っ……」

非難の声をあげる千草をとんと無視して、俺は右の胸に耳を寄せた。
どくどく……。少し早いが確実に脈を打つ心臓は千草の小さな身体に血を巡らせているのだ。
その証拠に少し汗ばんでしっとりとした肌は温かい。

生きている!生きている!

死を見すぎると生を求めたくなるもので。

「なぁ、千草。……俺を慰めて?」

俺は千草の身体を貪りながら、がむしゃらに温もりを求めた。
己の欲望を吐き出すためだけのセックスだ。
ひどい抱きかたをしたのかもしれない。けど、千草はそれ以上の抵抗はしなかった。俺の背中に小さな手を回し、必死にしがみついていた。
それどころか、セックスを覚えたてのガキみてぇにガツガツと腰を打ち突ける俺の背中を優しく擦るのだ。


「だいじょーぶ、だよ……ぎんさん……」

まるで幼子をあやすように女は俺を受け止めてくれる。いっそ、嫌われてしまいたかった。女をこれ以上は傷付けてたくないのに。
だけれど、俺は彼女の優しさに甘えた。
千草の中に熱を埋めると、言い知れぬ幸福感に包まれる。それがたまらなかった。


「はっ……千草、千草、千草……。おれは、」
「ん、ぎんさん……、いっしょに……いこ?」
「……千草、千草っ……」

愛しい女の名を何度も何度も口にしながら、熱くうねる膣壁を擦って、奥へと侵入する。その先にある子宮口を突いたとき。

「ーーっ、」
「……くっ……はぁ」

俺の背中に回っていた腕に力が入り、膣壁を収縮させて千草は達した。
狂おしいまでのきつい締め付けに俺も絶頂を迎え、千草のナカを数回突いた後、汚い欲をぶちまけた。

千草、千草。
すまねぇな。
お前だけは俺の傍にいてくれ。
何処にも行かないで。俺を見捨てないで。

腕の中にある小さな身体を、ただただすがるように抱き締めた。




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