じわじわ自分色に染めていく銀さんの話。




「なぁ、チューしてもいい?」

酔っ払い、顔を赤く染めた銀時が千草の髪を指先で弄び、小首を傾げておねだりをする。
いい歳こいたおっさんの小首を傾げる姿などかわいくない……こともない。これが惚れた弱みというやつよ。胸内で呟いて、いいよと返す。後頭部に手が回り、唇を塞がれた。
酒の味がする舌を差し込まれ、肉厚の舌で咥内を蹂躙する。相変わらず、食べられてしまいそうな口付けに、千草は成すすべもなく、銀時に身を任せて、甘い痺れを堪能した。

「あ、んんっ」

下腹部が疼き始め、とろりと零れ落ちるなにかが股筋を伝う。股間あたりに感じる湿り気に、思わず膝を擦った。
どうしよう、銀さんに気づかれちゃう。気づかれて、淫乱な女だと軽蔑されちゃう。
息苦しさを言い訳に、胸板を軽く叩いてやると、すんなりと解放してくれた。

「相変わらず、馴れねーのな」

からかい交じりの言葉に、千草はむっとした。

「どーせ、私は銀さんみたいに経験豊富じゃないですから」

唇を尖らせて皮肉たっぷりにいい返してやる。それでも、銀時はにやにや笑いながら

「おー?嫉妬ですかぁー?かぁいいねぇ。愛されてんねぇ、俺ぁ」

膨らました頬を指先で突っついてくる。ダメだ、完全に酔っ払っている。

「もぉ、いいです」
「どこいくの?」
「厠です!」
「音聞かないようにテレビ付けといてやろうか」

最低な発言をする銀時を無視して、千草は厠へ向かった。
扉をぴったりと閉め、透明な糸を引きながら下着を降ろす。てらてらと光るぬめった液が下着を濡らしていた。
経験こそないが、透明なそれがなんであるのか分からないほど、子どもではない。
そっと指で触れ、濡れそぼつ蜜壷にくちゅりと指を沈めた。
扉の向こうでは銀時がテレビを見ているのか、あーだこうだ独り言を言っている。
銀時に気づかれないよう、着物の裾を咥えて必死に声を圧し殺しながら、千草は自分を慰めた。本や動画でみた知識を頼りに、片方の手で胸を揉み、キモチイイと感じるところを突いて、壁を擦る。
これがキモチイイのか分からないが、蜜の量が増したのできっとキモチイイのだろう。
だが、千草は少し物足りなさを感じていた。
銀時の指でここを擦ってくれたら、どんなにキモチイイだろうか、と指を動かしながら考えた。
心地よさのある低い声で意地の悪い言葉を囁かれながら、あの節くれた太い指で、私のここを、ぐずぐずにほぐしてほしい……。
欲しい。欲しくてたまらないの。

「、っふぅ……んんっ」

銀時の指で可愛がられることを想像するだけで、胸の尖端が硬くなり、膣壁がきゅうっとしまった。とろとろと蜜が溢れ、隠微な音を響かせる。

「はぁ、ん……ぎんさぁ、……っ」

か細い声で愛しい彼の名を呼んだ時、「なぁに?」返ってくるはずがない返事がして心臓が止まりかけた。そろりと扉へ目を向けると、唇を緩め優しい微笑みを浮かべた銀時が、やけにぎらついた紅い目でこちらをみていた。

考えるより先に身体が動いた。だが、それが悪かった。咄嗟に扉を閉めようと手を伸ばした途端、手首をむんずと掴まれた。
あっと思う間もなく、厠から引きずり出される。銀時は多々良を踏む千草の身体に腕を回し、逃げないよう背後から羽交い締められた。

「なぁ、ナニしてたの?」

息を吹き掛けるように低い声で囁かれ、千草はぶるりと背筋を振るわせた。

「厠から、エッロい声が聞こえてたぜ?」
「あ、」

耳朶を食まれ、たまらず声が零れる。

「ここに、指突っ込んでひとりでオナニーでもしてた?ん?」

銀時の指が花弁を剥き、蜜に濡れるあわいをなぞった。くちゅくちゅと何度も指を往復させ、刺激を与える。

「あっ、あっ、あっ……だめ、だめぇ」

口から喘ぎ声を溢し、千草は銀時の着流しの裾をきゅっと掴む。
だめ、立っていられない。
膝が震えた。もどかしい刺激にでさえ感じるカラダは、厭らしく蜜を滴らせ、床を汚していく。

「うわ、すげーとろとろじゃん。擦っただけで、こんなに濡らしやがって」
「ちがっ、」
「違わねーだろ」

ぐちゅり、太い指が差し込まれる。体内に自分以外のものが入っている。初めての衝撃に千草は声にならない悲鳴をあげ、背筋を戦慄かせた。

「……いてぇか?」
「ん、だ、だいじょ、ぶ」

半ば無理矢理な行為をシているくせに、銀時の気遣いが意地らしい。意地悪で最低なことばかり言うくせに、たまに見せる不器用な優しさにきゅうっと胸が詰まった。

「ちょっと、がまんな?」

床に腰を降ろした銀時は、硬い膝の上に千草を乗せて、また指を沈めた。膣内をほぐすようにゆっくりと指を出し入れる。
片方の手で合わせをくつろがせ、ふるんとまろび出た柔らかな膨らみ。ぷっくりと主張する尖端が、外気に晒され硬さを増した。

「ほら、ここもたってる。やぁらしいー」
「ぁあっ、……ん、や、だめっ」

銀時は笑いながら硬く尖った乳首を摘まみ転がす。電流が駆け巡ったような痺れに膣壁がきゅうっと絞まった。

「はっ、やらしー」

人差し指と中指を差し込み、関節を曲げて天井をつっつく。千草はひときわ甲高い声をあげて啼いた。
花弁をめくり、紅く熟れた丸い実を摘まむ。

「あああっ!!や、そこっ、」
「ど?きもち?」

親指と人差し指で捏ねるように愛でられ、千草は未知の感覚に襲われた。

「あ、あ、あ、きちゃ、きちゃうっ」
「イキそ?」
「わかんなっ、あっ、あ」

これが達するという感覚なのか、千草には分からなかった。
そんな千草を他所に、銀時は「じゃあ、初イキな」と嬉しげに囁き、花芯をぎゅっと押し潰した。

「ーーっ!!」

その瞬間、千草の身体は爪先まで硬直させたように、背中を仰け反らせ、それから全身の筋肉を弛緩させて銀時の腕で力なく崩れた。

「続きは、また……今度な?」

ぐったりした千草を抱き締め、頭や頬、唇に口付けを落としながら、銀時はうっそり笑った。




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