部屋にふたり




4RTされたら、「親友に」「押し倒されて」「笑いながら」、「バカ」と言う伊達政宗を書(描)きます
んでやらせていただきました。



孫市に言われるまでもなく大学入学時に出会ったそのしい友人とは同いということもあり、すぐに意気投合した。高校生の時分に知り合った年上の女、孫市は俺の進学先を聞き、私の幼馴染もそこを受ける、気は合うだろうからせいぜい仲良くやれとクールに教えてくれたが、あの聡い女だって俺とそいつが今、ひとつの狭いソファーで体をよじりながら一夜をともにするような関係にまでなるとは思わなかったんじゃないだろうか。いや、あの女ならありえるか。とりあえず、あの女という共通の知り合いがいなくともきっとこうなったのではないかと思うほどあっさりと、俺とそいつ、元親は親友となったのだった。拍手。
身を起こし窓を見ると、空がるかった。それもそのはずで、時計を見るともう昼飯どころかおやつの時間だった。12時間耐久ホラー映画鑑賞は終わったら即次の作品と節操なく閲覧していたせいでいつの間にかツタヤで借りた本数すべてを消化していたようで、夢うつつのまま目をこすったら最後見たビデオは終わってテープも巻き戻っていた。エンドロールまで見ていた覚えはないので途中で寝てしまったのだろうが、元親はいつごろから眠ったのだろうか。解剖学は好きなくせにおどろおどろしい映像や音声が入ると怖かったようで、「っ、こんくらいのグロ、ぜんぜんビビれねえし!」と言いながらソファーにかけ人の布団を勝手に引っ張ってきて丸っていた友人は、現在ブオーブオーと馬鹿でかいいびきを立てている。大物だなあこいつは。
そもそも友人である元親が、実家からビデオデッキ送られてきたけどどうようなんていうメールを寄越すからこうなったのであっ、俺の家で飲んで食っての鑑賞会をするなんてのは根本的に違う気がする。お互い一人暮らしなのに二人で過ごすのはいつも俺の家である。ガンプラと模型と漫画大好き掃除嫌い収集癖ありな性分の友人の家にあんまり足を踏み入れたくないというものもあるが、元親なんか伊達家へデッキをもってきて接続するくらいしかしていない。それにに引き換え、料理をするのも友人の好きなアルコール飲料を買いだめしてやっていたのも再生ボタンを押すのも音量をマックスにしてやったのも俺なのであるから、少しばかり不公平ではないだろうか。いまやブルーレイが主流となったなか、先日ようやく中古のDVDデッキを購入したという長曾我部家を、嫌いじゃないので土曜の20時から日曜の8時までがつぶれようと、別に悪い気分ではないけれど。
が。別に土曜の20時から日曜の8時までホラー映像でつぶれようと、別に悪い気分ではないけれど、ゆうべ散々ブルブル布団の中で震えてたくせにそれを忘れたような能天気な寝顔でいる元親の呼気のあらわれを聞いているとそうも言ってられなくなってきて、 ごるぁ起きろ馬鹿野郎と布団を剥ぎ取って、大柄な友人の体をソファから落とす。顔から落ちた元親はにぶいうめき声を上げたがそれを無視して、昔懐かしいビデオテープをデッキから回収し、パッケージにしまう。こんなものを何日も家に置いておきたくないので今日までに返却する契約なのだ。床に散らばっていたほかのビデオを集め青い袋に詰め込んでいると、おめぇなあ、とまだ眠気に捕らえられ舌足らずな元親の声が背中からした。振り向くと上背のある友人に、床へと押し倒された。頭がフローリングにぶつかる寸前に床との間にでかい手のひらが挟みこまれ強打は避けられたが、ふと見上げた友人の鼻は赤く、笑えた。「馬鹿、何するんだ」馬鹿ともう一度言って、その赤い箇所に人差し指を当ててやると、痛みにか元親は顔をしかめた。ぼちぼち目が醒めつつあるらしい。

「お前な、落とすかよ普通ダチをよ…鼻打ったじゃねえか政宗くんよお」
「グッドイブニング」
「……うっわまじだよ最悪だなんだ3時って12時には起きるつもりだったのに」
「バイト?」
「いや、まんだらけに新作プラモが入荷したって」
「よくそんなアンダーグラウンドなところに通いつめられるな…」

は今から行くのかと聞くと、政宗も一緒にいこうぜと誘われる。お前行きたいと。なんで俺とたずね返してやれば、学部の違う友人は「だってお前と晩飯も食いてえじゃねえか」と朗らかに笑った。はいはい。本当は夜、昨日のホラーを思い出したとき周りに誰も居ないのが怖いからだろうとわかっていたが、同じ一人暮らしのよしみで、気づかないふりをしてやった。友人なのだ、親友なのだ。これくらいのわがまま、聞いてやろ



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