イチ
夕暮れで、とある幼き少女と、
白金が出会っていたのを、彼女は覚えていないだろう。
「大丈夫、か………?」
白金の化け物は、ひとりぼっちだった。
理解者が欲しかった。
温もりが欲しかった。
繋がりが欲しかった。
浅ましく、も。
そんなの許される訳もないのに。
そして少女は呪いをかけられる。
夕日が照らす、真っ赤な町のできごと。
「約束」
叶うはずないと、知っていただろうに。
「うん!
───約束…!」
その空しいばかりの契りは、
この物語を、終わりへと導く。
運命を歪ませた、イチのお話。
*← →#
3/9
back top