夕暮れ追想曲 | ナノ
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序章:ゼロ

   

これはゼロから始まり、

ゼロに終わる、物語。


さぁ、どこから語ろうか?
ゼロから語る?

───ゼロになったところから?




いいよ。


語ってあげよう。






「大丈夫」





人がいつもより多い、雪の降る夕闇の街で、

彼はその言葉を残して、彼女を残して消えたのだと。





「……だいじょ、……ぶ」




夕日で真っ赤に染まったその街で、

少女らは出会い、




「エン……───ッ!!」




そして、失う。




「だいじょうぶ」


「だいじょうぶ、だから、さ、レオ、」





誰かの悲鳴が聞こえる。



真っ赤な夕暮れの中で、飛び交う声。


悲鳴。
息遣い。


寒い。
凍えるような空気の中で、手が小刻みに震えているらしい。


どろりと、紅く濡れた手。



──────彼を奪った、その、手。











その日、

エンは死んだ。










とある少女の存在によって、
殺され、消された命。


縁。



繋がり。








夕暮れ追想曲








さぁ、語ろう。





これは、

出逢い、

失う、




四人の終わりの物語。
    


  
    

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