こばなし ::赤葦と月島と△にはならない 夏休みの合同合宿。この暑いなか、部員たちは暑さも余所に身体を動かし続けている。試合が終わった後もこうして自主練をしているのは幼馴染も例外ではない。 試合を行っていた体育館で偶然見つけた幼馴染の忘れ物のタオル。別のタオルを持っているから大丈夫だろうが、選択するのか否か、どう処理をするのかを本人に聞くべく姿を探している。 彼のことだから主将のスパイク練習に付き合わされているに違いない。確かこの合宿中は練習が終わると第3体育館に行くとか何とか言っていたから、足を運んでみるのもいいかもしれない。 「ウエーイ」 「くっっっそお!黒尾!」 体育館の中からする主将の声に、間違いなくここにいると確信する。木兎さんを置いて他の練習を彼がするものですか。 中を覗けば彼がちょうど木兎さんにトスをあげるところで。 今度は攻撃が成功してテンションが上がっている木兎さん。このまま調子に乗ったのを大人しく見届けてしまうと声を掛けづらくなってしまう。今のうちに彼に声を掛けて手元にあるバスタオルをどうするのか、行方を聞かなくては。 「ちょっといいですか〜」 「うおっ!? なんだ、マネちゃんじゃん〜木兎に用事?」 「いえ、セッターの方に」 中断させてしまったことは悪いが、そのまま流れ的にいったん休憩になってしまった。よくよく見ると音駒の背の高い一年生の子と、烏野の眼鏡の長身の子も参加していたようだ。最も音駒の子は端で倒れているけれど。 「ごめん、タオル」 「洗濯しちゃっていいの?」 「うん。頼んでもいい?」 「いいですよ。どうせ洗濯出しにも抜けられないでしょ」 「…まあね」 ドリンクをのんで一息ついたところで、休憩も短く再開するようだ。横目にテンションの上がった主将の姿を見て小さくため息を吐く。 「じゃあ、タオルよろしく」 「うん」 手元にあるタオルは結局持ち主のもとへ来たものの、再び私が運ぶ運命らしい。新しいタオルで汗を拭い、幼馴染は中へと戻っていく。 と、恐らく試合の後、ご飯を食べていない彼らに食事を勧めなくてはいけないことを思いだした。このまま時間を忘れていると食事にありつけない可能性が高い。 「あっ、けいちゃん!」 「なに?」「はい?」 「…ん?」 私の呼びかけに返事をした声は、二つ。振り向いている顔も、二つ。 幼馴染である赤葦京治と、烏野の眼鏡の子。 「…すみません、間違えました」 「えっけいちゃん…名前一緒?」 「いや、同じではない、はず」 「………名前、蛍なので」 「「ああ〜」」 ―――――――― っていうのをツイッターでやなさんからいただきました。 back |