授業を終えて教室から出ようとすると、レディーとオルガはアンブリッジに声をかけられた。甲高い声が教室に響く。
「ェヘン!貴女たち、その服装はなんですか」
指を差したのはスカートだった。レディーもオルガも、いつも通りの校則違反の格好だ。
周りの生徒は気になったのか足を止めた。
あのレディーとオルガに注意をするのだ、どんなものか気になってしょうがないのだろう。
「貴女たちも私の部屋にくるのよ」
見下すように言うアンブリッジに渋々オルガは頷いたが、レディーは無表情のまま佇んでいる。
それを見たアンブリッジはレディーに詰め寄り「貴女、返事は?」と聞いた。
レディーはそれはもう希にないほどの笑顔を浮かべ
「冗談じゃないわ」
と言い放った。それを聞いたアンブリッジは鬼のような顔をしたあと、顔が引き攣るぐらいに笑顔をむけた。
「貴女は学校の規律を乱しているのよ?それがどういうことかわかるかしら?」
レディーはツンとして顔を反らした。人差し指で長い髪をクルクルと回していじっている。
「・・・っ!!!!!」
アンブリッジは顔を真っ赤にして手を振り挙げた。レディーは反射的に後退りをし、目をつむり、歯を食いしばった。
しかし、いくら経っても乾いた音がするはずの教室には音は響かず、レディーの頬には痛みはなかった。
そっと目を開ける。目の前には人影があった。
「ドラコ……」
アンブリッジの振り上げた腕を掴んでいたのはドラコだった。
「すみません先生、僕からよく言っておきます」
鼻息を荒くするアンブリッジは、ドラコの手を振り払い甲高い声をあげた。
「・・・っ、わかりました。よく躾をしておくことですわね。ふんっ」
ずんぐりとした体型のアンブリッジは、奥の部屋へと入って行ってしまった。
生徒はア然とし、ドラコとレディーを見つめた。
「大丈夫か?」
ドラコがレディーの手を取ると、レディーはその手を握り返した。少しだけ震えている。
「ドラコ…ありがとう。手を挙げられたから、さすがに驚いたわ」
「あいつの前ではそのスカートは止めた方がいいな」
ドラコがため息をついて言うと、レディーは 「え゙ー!?」とすかさずブーイングをした。された側のドラコは堪忍袋の緒が切れるとでも言おうか、我慢できなくなり怒りが爆発しレディーの肩を揺さぶった。
「え゙ー、じゃないだろうが!お前は今、打たれそうになったんだぞ!?わかってんのかこの馬鹿!!」
「なんですって!?確かに感謝はしてるけどねえ、馬鹿は言い過ぎよ!!」
二人の喧嘩が始まると、生徒たちは「まただ」と言いながらずらずらと帰っていった。オルガとランドールも、これは長引く。と思い教室を出ていった。
「馬鹿だろうが!違反なんかするな!!」
「何よ!オシャレな服着て何が悪いの!?」
「叩かれるよりオシャレ優先かレディーは!」
「あったり前よ!」
その後、5分ほど言い合いをすると、次の授業のために二人は喧嘩しっぱなしで教室から出ていった。
(助けたのが馬鹿みたいだ!)
(なによ!!)
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