×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


馬車から会場までの間、ワールドカップに興奮して祭り状態の騒がしい人だらけだった。
途中飛んでくるビールやピーナッツを避けながら進んでいく。
ピリピリしながら歩いていたルシウスはついに毒を吐いた。


「薄汚いやつらめ…」

「本当ね、早く行きましょう」


ナルシッサもその言葉に頷きながら、後に続いてそそくさと歩いく。
二人は置いて行かれないようについて行くと、会場に着いて直ぐに「マルフォイ様ですね」と、ご丁寧な案内をされた。



「席は満席、でも私たちはいい席で見れる」


ルシウスはそう言い、マルフォイは鼻で笑っている。親子は似るものなんだなと、改めて感心していると、上から聞きなれた声が聞こえる。


「すっげーパパ、てっぺんの席だ!」


上を見上げると、ウィーズリー一家の姿だった。ロンは下を見下ろし席に興奮している。


「そうとも言えるな。だが雨が降ってきたら真っ先に濡れる」


ルシウスがすぐに気づいたようで、つっかかるように嘲笑った。それを見てドラコがルシウスより前に行くと手すりに寄りかかりながら鼻で笑った。


「僕らは魔法省の貴賓席さ。コーネリウス・ファッジ大臣直々のご招待でね」


あぁ置いていかないでドラコ、ここで私置いていかれたら完全に迷子だもの。そう思いながらも喧嘩を売るドラコの横には行かず後ろから様子を見守る。

お淑やかな女性というのは男性のやや後ろに立つものよ。と、言い聞かせるが面倒臭いことが嫌いなだけである。


ハリーがルシウスの言葉を聞き流そうと後ろへ振り向いた時だった。ウィーズリーよりももっとよく知る声が響いた。


「レディー!!レディーレディーレディー!」

「アロマ!?」



斜め上を見るとポッターたちと共に一緒にいる妹がいた。こっちに笑顔を向けながら思い切り手を振っている。



「どうしてレディーがここにいるの!?」

「それはこっちの台詞よ!」

「ジニーが誘ってくれたのよ」

「レディー!行くぞ!そんな奴ら相手にする価値もない」

「あ、待ってよドラコ!じゃあね」


レディーは背を向けドラコの元へと走っていった。


‐‐‐‐‐‐‐


ドラコの方へと走って行ったレディーを見てハリーはまだ手を振り続けるアロマに尋ねた。


「アロマ、あの人はキミの」

「お姉ちゃんだよ」

「マルフォイと仲がいいんだね」

「そう!付き合ってるの」

「!?」


ハリーへと振り返りアロマはにこやかに応えた
ハリーは心底驚いている。


「君のお姉さんは変わってるよ。美人みたいだけどあのマルフォイとなんて」


ハリーは時々苦笑いを含めながら嫌味なことを言う時がある。アロマには通じないのだが…


「そう!変わり者で有名!家でいつも部屋にこもってるの」


そんなアロマの様子を見かねたハーマイオニーがハリーに声をかけた。


「ハリー、試合が始まっちゃうわ、行きましょ」

「え…あうん」




‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



「ルシウスさん!どうぞこちらへ」

「今日はありがとうございます大臣」


大臣に席を案内されたレディーはドラコの隣に座り、観客席を見渡した。
見渡しのいい場所だと思い感心していると、少し遠くに座る若い男に目がいった。

ルシウスは大臣と笑いながら話しをしている。


「ドラコ、あの人はだれ?」

「さぁ?」


わからない、と付け足しながら言うドラコの後ろから、ルシウスは指をさしながらレディーに言った。



「レディー、彼は純血貴族ランペル家の、史上最高の魔力を誇るルーファスだ」

「父上!」

「偉大な名前をもらったものだ、ルーファス・スクリムジョールと同じファーストネームとはな」

「へぇ、そうなんですね…」

「ルーファス・ランペル…んールーファス」


レディーが顎に手を当て唸った。隣に座っていたドラコが首を傾げて聞いてくる。


「なんだ知ってるのかレディー」

「知らないはずなんだけど、どこかで名前を聞いたことがあるのよねー」


思いだそうとチラリとルーファス・ランペルという人物を見る。一瞬目が合ってしまったのはきっと、きっと気のせいだろう。

どこで聞いた名前なのかしら?


彼をまた見ようとすると目の前には男の人の手があり視界が遮られてしまった。



「何するのよドラコ」

「ルーファス・ランペルとやらに見惚れたか?」



ドラコの手を掴み降ろすと何とも機嫌の悪そうな表情をしている。口はへの字だし、眉も寄っている。


「確かに、顔は整っているようだしな」

「ドラコ…」

「髪色も綺麗だ、まぁ僕の方が綺麗だけどな」

「ドラコ」

「お前歳上が好みだったのか?」

「ドラコ!!!」



レディーが大声を出すとドラコは舌打ちをしながら顔を背けた。レディーが大きなため息を吐いて言う。


「悪いけど、私の好みは左横に座っている男なの。性格はねじ曲がってるけど、まぁ良いところがある」

「それはそれは、聞いてみたいものだな」

「私に優しいところと、嫉妬深いところよ!ドラコ・マルフォイ!」


頬を膨らませるとドラコはようやく笑った。わかったよと言いながら、小さい声で「ごめん」と呟いた。



(三年の時より素直になったな)
(三年の時より素直になってるわ)



prev next
back